第3話

俺は異世界に来て五年、気づいてしまったことがある


ステータスの職業欄に勇者が追加されていた


この世界には何歳になったら教会で天職をもらうなどというイベントはない

だから基本職業は自己申告なのだ・・・

「しかしこれは困ったなぁ」


職業を聞かれ素直に勇者!などと言えば、変な期待を持たれるか、鼻で笑われるだけだ

しかし誰かには言っといたほうがいいかぁ

ただ言うとなるとその後の視線が怖い


「そうだ!」

勇者というものだけを聞けばいいんだ!

早速俺は母上に勇者について聞いた

「ねぇねぇ母上~、勇者ってなにぃ?」

一応五歳という設定なのだ。この喋り方は当然だろう

・・・内心とても恥ずかしいが


すると母親は、「勇者?」と初めて聞くような反応を見せた

その反応を見て俺はしくった!と思った

おそらくこの世界に勇者なる職業はないのだろうと思った


勇者がいない異世界もあるんだなぁと思ったが、次の答えがこの考えを吹っ飛ばした

「勇者はね~異世界から召喚された五人の異界人のことを言うんだよ~」

んなっ、異世界から召喚?

「その話もっと詳しく聞かせて!」

喋り方は子供だが口調が少し大人びてしまった

まぁ気づかれていないだろう

「分かった。勇者はね・・・」

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