様々な性 

遠藤良二

第1話 友達はバイセクシャル

 最近、ニュースで「LGBT」という言葉を見掛けるようになった。僕は、ノーマルで女性が好きだけれど仲間の中にそれに関する人達がいる。もちろん偏見はない。


 僕の名前は、山宮剛輝やまみやごうき、26歳。北海道の市街地に住んでいる。現在、彼女はいなくて一応募集中。でも、最近体調が優れず職を転々としている。現在は何もしていなくて実家暮らし。両親からは、早く仕事を見付けなさいとかうるさいことは言われない。親には体調が悪いと言ってあるから尚更だろう。




 今は3月上旬。季節の変わり目のせいか気分が沈んでいるので朝から夜までろくにご飯も食べずに寝てばかりいる。


 今は夕方の4時30分頃。自室で寝ているとスマホが鳴った。怠い身体をゆっくりと起こして床に置いてあるそれを手に取った。画面には三浦加奈みうらかなと表示されていた。横になりながら電話に出た。

『もしもし』

「剛輝さん? 久しぶりです」

『うん、久しぶりだね』

「何だか体調悪そう声出してるけど大丈夫ですか?」

『最近、季節の変わり目のせいかずっと気分が沈んでて調子悪いんだ』

「そうなんですね。あたし今日休みで暇してるんでお邪魔していいですか? 剛輝さんの顔もしばらく見てないし」

何とも嬉しい言葉を掛けてくれる。

『でも彼氏に言わなくていいの?」

彼女には2つ上の彼氏がいるのだ。

「今、彼は仕事中なんで連絡取れないんですよ」

『そうかあ、じゃあ待ってる。悪いね』

「いいえ、支度してから行くので一時間後ぐらいには着くと思います」

『わかった。じゃあ後ほど』

言ったあと電話を切った。


 数カ月前に加奈ちゃんに近くの公園で彼氏を紹介された。彼女が公衆トイレに行っている間に彼氏から聞いたことがある。それは加奈ちゃんがバイセクシャルだということ。僕はその時驚いた。でも、偏見は持っていない。

それと彼女も募集しているということも聞いた。僕はその時そういう彼女に不満はないんですか、と訊いた。彼氏は不満というより複雑な気持ちと答えた。でも探しているのが男性じゃなく女性なので不安はないとも言っていた。何となくわかる気がする。僕には現在彼女はいないけれどバイセクシャルでも構わない。


 彼は自分のことをけんと呼んで欲しいと言っていた。ちなみに僕と同い年。出身校を訊いてみるとやはり違っていた。通りで知らない訳だ。僕はベッドに横になりながらそのようなことを反芻していた。思ったことがある。それは彼氏がいて彼女もできるのかなということ。加奈ちゃんが来てその話になったら質問してみようと思った。


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