サマーブルー

勝利だギューちゃん

第1話 突然の再会

ある夏の日、俺は田舎の駅に降り立った。

駅舎の外へ出ると、広い海が広がっていた。

都会の海と違い、とても青くてきれいだ。


浜辺に出た。

風が体を吹き抜けてゆく。


「でも、変だな・・・」

「何が?」

「夏だというのに、人がひとりもいない」

「そうだね」

「シーズンじゃないのかな?」

「いつもは、混んでいるよ」

「じゃあ、今日は・・・」

「貸し切りだからね」

「そうか・・・」

・・・って、さっきから誰と話をしているんだ?


疲れてるのか・・・

幻聴が聞こえる。


「幻聴じゃないよ」

「えっ?」

後を振リ向く。


「やあ、久しぶり」

「えっ、めぐみちゃん?」

「うん、覚えていてくれたんだ」

「もちろんだよ」


盛野めぐみ


俺がこの村にいた頃、仲の良かった女の子。

でも、どうして?

しらせていないはず・・・


俺は、めぐみちゃんの手を取る。

「どうしたの?急に」

「いや、もしかしたら、幽霊じゃないかと・・・」

「失礼ね。生きてるわよ」


めぐみちゃんは、すぐに怒る。

でも、すぐに忘れてくれる。


なので、友達が多い。


そして、俺の数少ない友達だった。


「ねえ、ゆっくりしていけるんでしょ?」

「ああ、夏休み期間は、いるよ」

「じゃあ、家に来なよ。泊めてあげるから」

「でも、迷惑じゃ」

めぐみちゃんは、笑う。


「平気だよ。お父さんも、お母さんも、待ってるから」

「武雄もか?」

「うん」


武雄とは、めぐみちゃんの弟だ。

少し歳は離れているので、お母さん的かもしれない。


「じゃあ、せっかくだから・・・」

「うん」


俺は、めぐみちゃんの家に、厄介になる事にした。

夏休みの期間中だけど・・

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