第42話 災いを封印する。その11

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「私たち! 災いを封印! 少年少女剣客隊! 災い10体を封印成功!」

「おめでとう!」

「ありがとう!」

「お約束は、ここまでにしてと。」

「名字は、名字多いランキングでと。異世界は、月を英語読みということで。」

「1月睦月、異世界ネームは、ジャニュアリーということだな。」

「なんか面白いな。」

「つまらないことにワクワクする奴だな。」

「2月如月、フェブラリー。」

「3月弥生、マーチ。」

「分かった! おまえキャラクターのデータを整理する気だな。」

「その通り! コピーして貼れば、もう一度入力しなくていいのだ!」

「せこい奴め。」

「4月卯月、エープリル。」

「5月皐月、メイ。」

「6月水無月、ジュン。」

「7月文月、ジュライ。」

「8月葉月、オーガスト。」

「9月長月、セプテンバー。」

「10月神無月、オクトーバー。」

「11月霜月、ノーベンバー。」

「12月師走、ディッセンバー。」

「終わった! ふ~う、疲れた。」

「これで一安心だ。というか、今までキャラクターネームの軸を決めてなかったというのも、すごいな。毎回決めるの大変だろうに。」

「名字が12月で、名前が師走の方が、すごい名前だと思うのだが?」

「気にするな。私たちには関係ない。」

「そうだな。ワッハッハー!」

「オリジナルができると、名字の多い人ランキングを使うのが、基本、逃げであって好きではない。」

「だね。田中とか、鈴木とか、親近感はあるんだけど、作者がラクしたいだけの手抜きなんだよね。佐藤とか、毛利とかね。」

「織田信長と徳川家康を足して2で割ると、織田家康と徳川信長と2人できるんだよね。」

「本当にキャラクターネームに識別以外の意味がないな。」

「自分の名前は、どうして自分の名前なんだろう? 思わず自問自答してしまう。もし、自分の名前がトヨタでも、自分次第でホンダに変わったら面白いな。」

「人の名前に意味が無いと証明しているようなものさ。」

「あ、つまらないことを思いついた。あと星座、何ていうのもあるわ。」

「つまらねえ奴だな。それを言っちゃうと誕生石なんてのもあるんだけど。」

「私たちって、つまらない奴なんだな。」

「だって、ちいとペリーだもの。」

「ワッハッハー!」

 笑って誤魔化す、ちいとペリー。

「一つ問題を発見した。」

「何?」

「七月文月に、文学の文という字が使われている。主役にしてしまうか?」

「主役は、角川文子じゃなかったのか?」

「でも、それだとキャラ被りになってしまうぞ。」

「分かった。「超!? 文学部!」の主役は、七月文月にしよう。」

「おお! 主人公が決まった! 渋井谷子とかより、よっぽど真面目な名前だ!」

「どこが真面目な名前なんだ?」

「ゲッ!? 桜先生!?」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「よく考えたものね。今までキャラクター数を増やしていたものを、一人に合成する。それだけで合成してできたキャラクターは個性が濃くなる。」

「一度、全てを消し去って、無にしないと何も生み出せない。」

「くれぐれも、私よりも個性の強いキャラを作らないようにね。それでは、みなさん、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちは寺子屋から帰って行った。


「最近、楓や実朝、家々と出会わないな。」

「ウザいんだけど、会わないと寂しいね。」

「ウラララー! 呼んだ?」

「どこからやって来たんだ!?」

「今、雨乞いのお祭りの真っ最中! 実朝くんは田んぼで案山子にくくられているよ。ニコッ。」

「そこ、笑うとこかよ!?」

「実朝、おまえの死は無駄にはしない。」

「あれ? 家々は一緒じゃないのか?」

「知らない。噂では最近、家々くんはグレたんですって。ウラララー!」

「グレた? あの家々が?」

「精々、抵抗しない弱い者をいじめたり、アリさんを踏んずけて楽しんでいるレベルだろ。」

「どんなレベルだ?」

「まあ、ほっといても問題はないだろう。」

「そうだな。所詮は家々だ。」

「さあ、ご先祖様に偶然、出会って、ご意見を頂いて、閉めに入ろうぜ!」

「おお!」

 この時、ちいとペリーは気づいてはいなかった。グレ始めた子供を放置してはいけないということを。

「私は、徳川15将軍の一人、第11代将軍、徳川家斉でぴょん。」

 偶然、道を歩いているご先祖様と遭遇した。

「面白い! せっかく考えて生み出したキャラクターアイデアだ。一度使ってお蔵入りは惜しい。各々のキャラクターに食べさせてしまえば、ホラーにもなるし、いいんじゃないかな?」

「一人のキャラクターに最低2キャラぐらいは詰め込めるだけのスロットとはあるな。」

「リミット、超えちゃうよ!」

「私だと、竜の使いを口寄せの術で呼び出せる! これだけでかなり強い忍術だろう! ワッハッハー!」

「口寄せの術か、よく魔法と言わないで、ここまでやってこれたもんだ。」

「だって、文学部だもん! そういうペリーは?」

「私? 私はガンナーかな? 拳銃少女でもいいよ。どこでもポケット的な、無限兵器培養型の教会の倉庫から、いくらでも兵器が出せる便利な存在だからね。護衛には父のザビエルが種子島スナイパーとして、教会の鐘台から狙ってるし。最終兵器は、原爆ね。英語でいうとリーサルウェポンは、アトミックボム的な。」

「面白そうな話だったのに、どうして挫折したんだろう?」

「きっと特命警察よ。あれから変な広がりができてしまって、話が逸れたのよ。メインキャラクターだけで話が回せなくなった。」

「うちの無職のお兄ちゃんを、無理やり就職させたのが脱線の原因ね。失敗した。」

「私、今作が初登場だったのに、大きな爪痕は残せたのだろうか?」

「十分だよ。アビリティキャラクターとして、後世に語り継がれる伝説だよ。」

「そうか。私は伝説になったのか。ああ~、こんなに嬉しいことはない。ジ~ン。」

「もしもし、他に私に聞きたいことは無いのか?」

「まだいたの? 消えていいよ。」

「ええー!? 今時の娘は残酷じゃのう! もっと年寄りを労われ! さようなら!」

「だって、もう尺がヤバいんだもん。」

 家斉は成仏していった。

「ウラララー! 雨よ触れ! ウラララー! ウラララー!」

 楓は雨乞い祭りの真っ最中であった。

 つづく。

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