第38話 災いを封印する。その7
「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「私たち! 災いを封印! 少年少女剣客隊! 災い6体を封印成功!」
「おめでとう!」
「ありがとう!」
「記念に制覇を64話まで読んだわ。竜の鎧とか、昔の方がアイデアをよく考えていたわね。」
「そうそう。もう売り言葉に買い言葉トークに逃げた私たちには、そんな新しいものを生み出す気力が無いわ。」
「今夜は、イノシシ鍋だ! ウラララー!」
楓がイノシシを追いかけて
「元気な子もいるにはいるけどね。アハハハハッ。」
「見ちゃダメ! バカが感染するわよ!」
「おまえたちは普段通りでいいのう。」
「家々、珍しく早めの登場ね。体も溶けてないし。」
「毎回毎回スライムだと思うなよ!」
「違ったのか?」
「知らなかった。」
「おまえたちは、ご先祖様が死ぬ間際に言い残した言葉が気にならないのか?」
「なんか言ったかしら?」
「利息は十一で、とかじゃない。」
「違う!」
「今夜はイノシシ鍋だ!」
「ウラララ-!」
「おまえらはイノシシを追いかけていろ!?」
楓と実朝は、今夜の獲物のイノシシ狩りをしている。
「ご先祖様が言うには、本当の災いという者がいるらしい。」
「桜先生のことでしょ。」
「桜先生しかいないわよ。」
「おまえたち!? なんと恐ろしいことを!? あの可憐で優しい桜先生のことを、災いというのか!?」
「だって、ご先祖様を片手で握りつぶすのよ!? 災い以外の何物でもないわ。」
「バレないように桜先生を倒す方法を考えなくっちゃ。」
「ご先祖様は、やはり英霊であった。この世の災いは、桜先生であったのだ。」
「誰が災いだって? あなたたちは、私のことを災いと言っているの?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。
「言ってません! 桜先生が災いと言っているのは、家々だけです!」
「そうですよ! 私は女神のような桜先生が災いな訳がないでしょって、家々を怒っていたところです!」
「お主たち裏切ったな!? 先に言い出したのは、ちいとペリーです! 桜先生!」
「家々! おまえという男は自分の罪を他人に擦り付けようとするのか! 許せん!」
「そんな!? アホな!? なぜ僕の性になる!?」
「災いは、おまえだ! 必殺! 幽霊の手!」
「ギャアアア!? 命だけはお助けを!?」
「家々、さようなら。」
「ウギャブ!?」
家々は、幽霊の手に握りつぶされて、スライムになった。
「ああ~、スッキリした。みなさん、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「桜先生のことを悪く考えてしまったのが悪かったわね。」
「そうね。他人のことを悪くいえば、自分に返って来るものなのね。」
「イノシシを獲ったぞ! ウラララー!」
「深く考えないで、イノシシを食べましょうよ。」
「あんたたちは考えなさすぎだ!」
楓と実朝は、イノシシの捕獲に成功していた。
「それにしても、今から災いとなると誰が登場するのかしら?」
「あと気軽に使えそうな人たちは、歴史に名を残す者たちね。」
「でも、今から9人も新キャラを出すかしら?」
「なんですか? その歴史に名を残す者たちというのは?」
「ちいのお兄ちゃんの敵であり味方でもあるの。面白い人たちよね。」
「でも問題があるわ。歴史に名を残す者の中に、お調子者の源頼朝がいて、この世界には警察爆破事件から行方不明の実朝のお父さんの源頼朝がいる。あれ? ちょうどいいわね。記憶喪失か、同姓同名で逃げましょう。」
「それか多重人格者の実験に使用しようかしら?」
「こら! 私のお父様を実験台にするな!」
家族をバカにすることは、珍しく怒る実朝。
「ねえねえ、みんな。」
「何? 楓。」
「そろそろご先祖様を倒さないと、イノシシ鍋が食べれないよ。」
「あら!? 嫌だ!? もう、こんな時間!? 家々、ご先祖様を連れてきて。」
「体が溶けて、力が出ないよ。」
「おまえは、アンパンのお化けか!?」
「行ってきます。」
家々は、スライムのまま、ご先祖様を呼びに行った。
「私が、徳川15将軍の一人、第7代将軍、徳川家継だぞん!」
そして、ご先祖様が現れた。
「しまった!? 私としたことが!? 誰がご先祖様を倒すか決めていなかった!?」
「教会の倉庫から新兵器を持ってこようか!?」
「イノシシで叩こうか!?」
「家々はスライムのままだし、実朝、おまえ、あいつを倒せるか?」
「わ、私!? そんな!? 私なんかにどうして!? でも、ここで頑張らないと、私は残りの人生を航海しながら生きなければいけない! そんなのは嫌だ! 楓ちゃんのため! みんなのため! いいや! 私自身のためにも、ここはがんばらなければいけない! はい! はい! や、やります! 私にやらせてください!」
「おお、実朝のくせに気合が入いってるじゃないか。」
「仕損じた時は私たちがフォローするから、死んでいい。思いっきりやっちゃえ。」
「実朝くん、生きて、一緒にイノシシ鍋を食べようね。」
「楓ちゃん、今まで黙っていたんだけど、イノシシ鍋は、ボタン鍋っていうんだよ。」
「ええー!? そうなの!? 美味しければ名前なんかどうでもいいもの。キャハハハハ!」
「いけ! 実朝!」
「はい! 鎌倉幕府を作った源頼朝の次男、源実朝! いきます!」
実朝は大きく腕を振り上げて拳に力を込めた。
「はああああああああー! 実朝パンチ!」
「ギャアアア!? 家々! スライムになっている場合か!? さっさと我ら徳川15将軍を封印して、本当の災いを倒すんだ! さもないと日本が滅びてしまう!? さらばだ!? ギャアアア!?」
意外にも実朝のパンチは強力で家継を倒した。
「で、できた!? できたぞ!? 私にもご先祖様を倒すことができたんだ!? こんなに嬉しいことは無い!」
「これで実朝も立派な少年少女剣客隊の一員だな。」
「実朝、これから出番が増えるぞ。よろしく頼むぞ。」
「お祝いに、ボタン鍋を食べよう。」
「うん! 私には仲間がいるんだ! こんなに嬉しいことはない! ああ! 生きてて良かった!」
こうして実朝は大人の階段を登った。
「僕の体を何とかして下さい。」
スライムの家々だけが、蚊帳の外だった。
つづく。
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