第5話 出撃! 少年少女剣客隊!
「ねえねえ、提灯のお化けさんが出るんだって。」
「電気や蒸気機関車のある時代なのにね。」
「なんか時代設定が江戸から、明治維新にズレてない?」
「面白ければ良いのだ。カッカッカ!」
「家々! おまえがまとめるな! 殺すぞ!」
「大砲ぶっ放しますよ!」
「お腹空いた!」
「いいではないか!? 世が世なら僕は徳川第十六代将軍であるぞ!」
「静かにしなさい! はい! みんな! 席について!」
いつもの寺子屋の風景。ちい、ペリー、楓、家々が街で噂のお化けの話をしている。そこに桜先生が現れる。
「みなさん、最近、街にお化けが出るそうです。寄り道しないで帰って下さいね。」
「はい。さようなら。」
家々たちは寺子屋を後にする。
「ねえねえ、私たちで提灯お化けを退治しない?」
「面白そうですね。やりましょう。私は、江戸で名をあげるわ!」
「少女剣客隊の誕生だね。」
「僕も行くから、少年少女剣客隊でござる。」
「なんで少年が先に来るのよ? 少女少年剣客隊でしょ。」
「そうです。女の方が多いんですから。」
「男尊女卑。女性軽視だ。」
「ゴロが良いから、少年少女剣客隊でいいのだ。」
「良くない!」
何気ない日常の会話。子供たちの興味本位から、剣客稼業が始まった。
「どこにいるのかしら? 提灯のお化け。」
「夜の街って、悪そうな大人しかいないのね。」
「お昼にやっていないおいしそうなお店がいっぱい! 寄って行こうよ!」
「きれいな女子もたくさんいるの。きっと僕は大奥を再興して見せる!」
「家々、殺す。」
「エロガキ、大砲に詰めて東京湾に沈めるぞ!」
「大奥は諦めて、遊郭で遊んで行きなよ。」
「それもいいな! カッカッカ!」
夜の街を満喫した家々たちだったが、提灯のお化けには出会えなかった。疲れとお腹が空いてので、子供たちは家に帰ることにした。
「会いたい時に会えないものね。」
「もう、クタクタで疲れた。」
「楓、お腹が空いたよ。」
「もう帰ろう。家族が心配しているでござる。」
「あの、夜道も危ないので、良かったら提灯を使いませんか?」
その時、家々たちに声をかけてくる提灯がいた。
「いいんですか? すいません。気を使ってもらって。」
「で、で、でた!?」
「提灯のお化け!?」
「ギャアアアー!?」
家々たちは提灯のお化けに驚いて気絶してしまった。
「ケッケッケ! 大成功! なんだか最近は昔みたいに霊力が高まってきたな。美味しそうな子供たちだ。いただきますー!」
ズドーン! その時だった。提灯のお化けを一発の銃弾が貫いた。
「ズドーン? ギャアアア!?」
撃たれた提灯のお化けの姿は消滅していった。
「若!? 大丈夫ですか!?」
「直ぐに荷台に乗せて、子供たちをお家に送るのだ!」
「おお!」
提灯のお化けにビビって動けなかった黒子たち。しかし提灯のお化けが消えると何事もなかった様に現れて、気絶している子供たちをそれぞれの荷台に積んで、自宅まで送り届けようとする。
「家々様! お気を確かに! 傷口は浅いですぞ!」
「うう!? 提灯のお化けに襲われる!?」
家々は気絶してもうなされていた。この時、黒子には黒子頭と黒子A、B、Cという黒子の存在が最大4人以上ということが認識された。
「すいません。娘さんの宅配です。」
「は~い。」
「すいません。ハンコください。」
「ポン。」
「毎度あり。」
黒子の宅配便はちい、ペリー、楓を、無事に自宅に送り届けるのだった。
「ちい! どこで遊んできたんだ!」
「あ!? お兄ちゃんだ!?」
「あ!? お兄ちゃんじゃない!?」
ちいは兄のライの元に無事に送り届けられた。
「それにしても、提灯のお化けを撃った銃弾はどこから飛んできたのだろう?」
黒子頭は、家々を布団に寝かせると、謎の狙撃手のことを考えるのであった。
「また、つまらない者を撃ってしまった。」
教会の高い鐘台にペリーの父親のザビエルがいた。鉄砲の銃口から少しの煙を風に流しながら。
「すいません! 黒子の宅配便です! 娘さんをお届けしました!」
「はい! 直ぐに行きます!」
ザビエルは、教会の鐘台から降りていくのであった。
つづく。
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