第3話 お家へ帰ろう
「家々の性で、酷い目に合ったわ。殺す。」
「本当に大砲でもぶち込んでやろうかしら。」
「お腹が空いた。もう動けない。」
ちい、ペリー、楓たちは、江戸城から城下町に帰って来た。
「どうだ? 初めて見た江戸城は? 僕の午前ぞ様たちはすごいだろう! カッカッカ!」
「別に。」
「普通。」
「お腹空いた。」
「楓!」
「あ、桜お姉ちゃんと蛍ちゃんだ。」
子供たちの前に、楓の保護者の姉、寺子屋の先生の桜と亭主の電気屋を営む蛍が現れた。
「あなたたち、もう暗いんだから早く、お家に帰りなさい。」
「桜お姉ちゃん、お腹空いた。」
「夜道は危ないから、先生がお家まで送ってあげましょう。」
「やったー! 先生と一緒だ!」
桜と蛍は、子供たちをお家まで送ることにした。
「ここが僕の家でござる。」
「長屋!?」
「元将軍家のはずよね!?」
「しっかりご飯を食べないと大きくなれないよ。」
「長屋で悪いか!? 元って言うな!? 米くらいは食べてるわい!?」
これが徳川16代将軍の家々のお家であった。
「みんな、家々くんも苦労しているのよ!? そっとしておきましょうね。それじゃあ、また明日、寺子屋でね。」
「はい。先生も気をつけて帰って下さい。」
こうして家々と別れた一同は、次にペリーの家を目指して歩き出した。
「いい、みんな! 過去の栄光で男を選んじゃダメよ! やっぱり男は甲斐が一番よ! 稼ぎのいい男を選ぶのよ! それが女の幸せなんだから!」
「はい! ちいは桜先生のように幸せになりたいです!」
「家々みたいな落ち武者と結婚する女性が気の毒です!」
「桜お姉ちゃんは、蛍ちゃんと結婚して大成功だね!」
「そうよ。蛍はカッコイイし、元侍だし、なんたって、この江戸の電力は、蛍電気会社が独占販売してるんだから! ワッハッハー!」
桜の結婚は、実業家として成功した蛍を選んで大成功だった。
「あ、家が見えてきました。」
「協会!?」
「そういえば、ペリーのお父さんは牧師さんよね。」
「そうよ。」
「あれ? 桜先生と蛍さん、どうしたんですか!?」
「あの二人は気にしないで。協会が怖いの。」
桜は、妹が心配で現世にとどまっている幽霊。蛍は、蛍の集合体。楓が、昔の想い人のおみつ姫の生まれ変わりなので、楓の側にいる。桜と蛍は、神社や神を崇めるスポットには弱い。
「ペリー。おかえり。」
「お父さん。ただいま。」
「放課後に勉強を桜先生に教えてもらっていたら、遅くなってしまったの。」
「うそつき。」
ペリーの父親が現れる。江戸の教会で宣教師をして、教会で神父さんの仕事をやっている。
「ペリーの父親のザビエルです。娘を送って下さってありがとうございます。良かったら西洋の紅茶などいかがですか? お菓子のクッキーもありますよ。」
「やったー! クッキー!」
「やめなさい!? 楓!? 今日は遅いので失礼します!? 帰るわよ!? 楓!?」
「うぎゃ!? クッキーが!? 楓のクッキー!?」
桜と蛍は教会に近づくことなく、可及的速やかに挨拶をして去って行く。
「危なかった!? もう少しで成仏させられるところだった!?」
「たまに桜先生はおかしなことを言うわね。」
「だからお姉ちゃんは幽霊だって。」
「ちい!」
「あ、お兄ちゃんだ。」
一人の男性が現れる。
「帰って来るのが遅いから心配したじゃないか。」
「ごめんなさい。勉強してたら遅くなったので桜先生たちに送ってもらっていたの。」
「すいません。俺はちいの兄のライです。いつも妹がお世話になっています。」
「寺子屋の教師の桜です。あれが旦那の蛍で、妹の楓です。」
「ワンワン。」
その時、犬の鳴き声がすると子犬がいた。
「かわいいワンちゃんですね。」
「ハチっていうんです。ちいを送ってくれてありがとうございました。」
「それでは、さようなら。また明日ね。」
「桜先生、さようなら。」
桜先生たちは帰って行った。
「ちい、桜先生って変わっているよね。」
「どうしたの? お兄ちゃん。」
「うちのペットのハチって死んでるだろ。普通の人には見えないんだけどな。」
「そういう時もあるよ。」
ちいとライも、お家に帰って行った。
つづく。
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