第2話 : 武道館 LIVE ( 4 )
何やら、敗色濃厚の詰め将棋を挑まされている気分だ。
「そこで、ある程度は当たりが付いて来たので、2、3日前にバースデーイベント当日、あなたと一緒に撮ったチェキを確認して
あのチェキが、ヒントになるなんて … 思っても …。
「しかし、当の一ノ瀬さんでも、チェキだけでは、アヤさんかどうか判断しかねるそうなの。だけど、一点不自然だったのは …
今日も左腕に着けているわね …。 イべント当日の腕時計でしょ。 秒針音が同じだわ…。
知らなかったでしょうけど、そのビビアンの腕時計、リコさんが 一ノ瀬さんと一緒に、一ヶ月前から、相談して誕生日当日、業者より宅配される手はずに成っていた品なの。
そうよね。アヤさん?
つまり、誕生日当日に配送された姉へのプレゼントを、妹のリコさん本人が着けているはずが無いとの見解だったわ」
確かに、この腕時計は、誕生日当日、未だに行方が分からないリコから届けられた、バースデープレゼントだった。
「 一緒にプールに行った時、初めて知る事となる、アヤさんの左脚付け根の生まれ持ったハート型の痣は、一ノ瀬さんが、お二人の姉妹と久しかったから知り得た、決定的な双子の相違点ですよね。」
随分とそこまで調べ上げたものだ。普段、私は帽子を被らないが、素直に
「これ以上、腹の探り合いは、ムダな様ね …。
そうよ、私はリコの姉、吉永アヤよ。 失踪したのは、妹の吉永リコ。 入れ代わっていた事を認めるわ …」
ユウスケが、何か言いかけたが、
「では正直に、何故、入れ代わる必要があったのか、聞かせて頂けるかしら?」
ユウスケに視線を払いながら、アヤが答える。
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