平凡な俺は、変貌を遂げた超絶美少女な妹たちに翻弄される!? ~俺は絶対にえっちな誘惑にも屈しない~

吉乃直

プロローグ

 全ての妹モノにおいて最も重要視すべきは『実妹か義妹か』だと俺は思う。

 

 それを踏まえて同胞ヘンタイに尋ねたい。あなたは『実妹派』だろうか、それとも『義妹派』なのだろうか?

 

 こう質問している俺はというと──

 

 

 

「お兄ちゃん……好きっ、大好きだよぉ♡」

 

「兄さん、私も愛してる……っ♡」

 

 

 ……必死に現実逃避していたというのに、二人のくすぐったいような猫撫で声で現実に引き戻された。

 

 というか、不覚にもドキッとしてしまった。……悪くないかもしれん。

 

 ……………………いやいやいやっ、何考えてるんだ俺!?

 

「お兄ちゃん、どうしたの? 勢いよく首振って」

 

「もしかして、私たちとえっちぃ妄想してた?」

 

「してないわっ!」

 

 必死になって否定すると、二人はニヤけながら「またまたぁ」や「素直じゃない」と口にしてスカートの裾を躊躇いもなく捲った。

 

 なめらかで少しむっちりとした太ももが姿を見せ、自然と内もものラインに沿って視線が奥へ奥へと誘われる。

 

 残念ながらスカートはギリギリのところで止められて、その奥にある桃源郷を拝むことは叶わなかった。

 

 なんというか、見えそうで見えない……。

 

「お兄ちゃん、この先が気になる?」

 

「変態な兄さんなら気になるよね?」

 

「お兄ちゃんがどうしてもって言うなら」

 

「見せてあげてもいい」

 

「「見たいでしょ?」」

 

「あぁ、見たい──って言うか!? バカじゃねぇのっ!?」

 

 どうしてこういうときだけ煽り性能が高いのだろうか。

 

 いや、少しだけ見たいと思った──なんでもない。

 

 

「ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんはあたしたちのこと、嫌い?」

 

「い、いや、嫌いではないけど……」

 

「なら好き?」

 

「うっ、ま、まぁ好き、だけど」

 

 嫌いか好きかで問われれば、もちろん好きなわけで。だから仕方なくそう答えると、二人は笑顔で顔を見合わせて、

 

「なら問題ないね♪」

 

「うん、大丈夫♪」

 

 どこが問題なくて、何が大丈夫なのか、俺には皆目見当がつかない。

 

 だがとりあえず、ロクなことじゃないということは理解できた。


「二人とも、一旦落ち着こう、な?」

 

 無意味だとわかっているが、一応そう言ってみる。だが二人は聞く耳持たずで、ゆっくりと這い寄ってくる。

 

 

「お兄ちゃん、愛してるの……だから、抱いて?」

 

「兄さん、早くここにサインして……お願い?」

 

 

 大人なゴムを口に咥え迫ってくる実妹と、婚姻届片手に迫ってくる義妹。

 

 何これもう頭痛い……。

 

 目の前の非現実的な光景に頭痛を覚えるが、思考放棄してしまえば取り返しのつかないことになるのは明白だ。

 

 そうなれば社会的に俺が死ぬのは確実だし、二人を悲しませてしまうことになる。

 

 ここは兄として、しっかりと二人を諭さねば──

 

 

「お兄ちゃんっ、早くシよ? あたしもう我慢できないよ……っ♡」

 

「ん、私も我慢できない。だから早くサインして初夜を迎えよっ? 私頑張るから……っ♡」

 

 はだけた服から覗く胸。紅潮しきった柔らかそうな頬。どこか虚ろで濡れそぼった瞳。加えてまだあどけなさの残る容姿が、それらをより一層妖艶に思わせる。

 

 官能的なその光景に、妹だとわかっていても「ゴクリ」と息を呑んでしまう。

 

 ……いやいや、落ち着け俺。冷静になれ。相手は妹だ、妹だ……ッ!

 

 二人は妹と自己暗示を掛けていると、不意に床に突いていた手が柔らかいものに包まれた。

 

 

「お兄ちゃん、悩まなくていいんだよ? あたしたちはもう、覚悟を決めてるから」

 

「ん、兄さんが気にすることは一つもない」

 

「いや、山盛りだから。気にしまくりだから」

 

 そう答えると、二人は顔を見合わせて「なら」と身を乗り出してきた。

 

「なにも考えられないくらい、気持ち良くさせてあ・げ・る♡」

 

「大丈夫、予習は毎日欠かさずにやってきた。だから任せて♡」

 

 二人は舌舐めずりをして、スカートのファスナーを外す。再び顔を埋めたくなるような魅惑の太ももが姿を現した。

 

 なんだこのエロゲ展開。というか予習って……。

 

 もはや頭痛が痛いと言っても過言ではないほど馬鹿げた状況に、頬が引き攣るのを感じる。

 

 はぁ、二人が諦めてくれる様子はない。こうなったら……逃げるか。

 

 俺が追いやられているのはリビングの隅。最低限リビングから出る必要があるのだが、二人が俺を囲うように立っているのでなかなかに難しい。

 

 いや、もうこうなったら捕まるの覚悟で突っ切るしかない。逃げ切れれば平穏が、捕まれば社会的な死が待っている。

 

 くっ、さっきから冷や汗が止まらない……。でもやるしかない。

 

 俺は覚悟を決めて飛び起きて二人の間を走り抜けた。

 

 

「お兄ちゃんっ!?」

 

「兄さん……っ」

 

 突然の俺の行動に驚いたのか、二人は俺を捕まえることができなかった。

 

 これでリビングから出られる! そう安心したのが悪かったのか、それとも考えなしに身体を動かしたのが悪かったのか。つい俺は慣れで階段を上ってしまった。

 

 自ら逃げ場がない場所へ行くなんてやっぱりバカなのだろうか。そんなことを考えながら自室へと逃げた俺は、二人が入ってこれないよう鍵を閉める。

 

「……ふぅ、これでだいじょう──」

 

 

 ガチャ──キィィィ……。

 

 

「──え?」

 

 安息地に辿り着いたはずなのに、息を吐く間もなく軽々と扉が開かれた。

 

「もぅ、部屋でシたいならそう言ってくれればいいのに」

 

 そう言いながらスカートのホックを外す妹。パサリとスカートが床に落ちる。

 

「ん、ハジメテは部屋の方が落ち着くって聞いたことある」

 

 ブラウスのボタンを外し柔らかそうなくびれのあるお腹と緩やかに線を描くおへそ、そして下着に包まれたたわわな果実が露になる。

 

「いやっ、なんで──」

 

「お兄ちゃん、もう我慢できないから──シよっ♡」


「子供は卒業まで我慢するから、お願い兄さんっ♡」

 

 呑気にそんなことを口にする妹たちに、俺は日常の終わりを察した。

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