魔王とお姫様
@keifun29
第1話 プロローグ
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ここはとても花が美しく咲き誇る国。
季節ごとに様々な花が咲き、他国からもこの国の花を見ようとたくさんの人が訪れます。特に春に咲き誇るバラ園は大陸一とも謳われ、この国が最も賑わう季節です。
しかし、来た人は花以上に美しい少女に見惚れてしまいます。
この国で多くの花を育て、綺麗な花々に囲まれた少女はこの国のお姫さまで、全ての人々から愛されています。
いつしか人々は、そのお姫さまを花の王女と呼ぶようになりました。
お姫さまは大好きな花に囲まれ、毎日を幸せそうに暮らしていました。その笑顔はそれを見ている人たちも幸せな気持ちにします。
その美しさ故、お姫さまは多くの人から求愛を受けますが、まだあどけなさの残る少女です。その全てを断っていました。
ある日、お姫さまはとても恐ろしい男から求愛をされました。
その男は、日の光も射さず、花の一片すら咲かない暗い地の底からやってきた魔王でした。
魔王は、自分の世界にはない綺麗な花に憧れ、この国にやってきました。そして、綺麗な花に囲まれ、なお美しい花の王女に一目ぼれしてしまったのです。
魔王は花の王女を自分の妻とするために、お姫さまを攫ってしまいました。
お城の兵士たちは、それを止めようと立ち向かいましたが、魔王の力は恐ろしく、まったく歯が立ちませんでした。
父親である国王は、頭を抱えました。
一人娘をあろうことか魔王に攫われてしまったのです。
お姫さまがさらわれた時も多くの兵士が怪我をし、また残った兵も魔王の力に怯えていました。このままでは、魔王を倒し、お姫さまを助け出すことはできません。
この国を含む大陸では、昔から時折魔王が出現しては、様々な混乱をもたらしてきました。古くは一国を滅ぼしたこともあり、その強大な力にどの国も手をこまねいていました。
しかし、その魔王を倒せる者がいます。
彼は神が遣わした勇者であり、身体のどこかに勇者である印を持ちます。
そして魔王が現れると、彗星の如く現れ、魔王を倒し、平和を取り戻します。
しかし、伝承として伝わっているのみで、実際に王様が目にしたわけではありません。本当に勇者が魔王を倒せるのか、王女を無事取り戻すことができるのか、不安でなりません。
しかし、魔王の住む場所はたどり着くことさえ困難な地。既にお城の兵士が何人も怪我をしている状況では、勇者に全ての望みを託すしかありませんでした。
王様は自分の無力さに歯噛みし、それならば勇者を助力することに全力を尽くそう、そう考えるのでした
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