鳥の死体
朝方、庭を歩いていると、頭のない小鳥の死体が庭に落ちていた。
頭だけがないのは不気味だが、さすがに人ではあるまい。恨まれる覚えもなければ、異常者もこの集落にはいない。おそらく猫にでもやられたのだろう。
かわいそうとは思うが、埋葬するほどの慈愛や徳はほとんど持ち合わせておらぬ。小動物の死体は、見慣れている。畑の隅におけば鼠か烏が持っていくだろう。
自然に還るのだ。
軍手をはめて、それを持ち上げると、ふと違和感を覚えた。傷ひとつない、きれいな死骸なのだ。血痕もなければ臓腑がはみ出しているわけでもない。確かに、頭はない。頭はないが、頭に繋がるはずの首は、すっかり羽毛で覆われている。
これの頭は何者かにもぎ取られたわけではない。これには、頭は元からないのだ。
視線を感じて振り替えると、頭のない小鳥が数羽、こちらの方を向いていた。
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