第71話 輪廻転生①
◆輪廻転生
僕はサツキさんに疑問を投げかけたが、サツキさんは言葉を返すのが難しいように見えた。
「イムラさん・・ごめんなさい・・もう声が・・」
もう話す力も失われようとしているのか・・
すると、イズミがサツキさんに代わるように、
「ミノルさん・・ワタシはこの場所を理解しました・・」と言った。
イズミがこの場所を理解?
「ハイ・・イズミ1000型の優秀な思考回路は、この穴の下で行われている事を、全て理解しました」
自画自賛のイズミ1000型は余計だが、
「イズミ、この下には何があって・・いったい何が行われているんだ?」
もし、僕の想像が当たっていれば・・
「ミノルさん・・ここは、B型ドールを解体して、新たに、何かを作っているように見えます」と言った。
「イズミ・・新たに何かを・・というのは、B型ドールだろう?」
おそらくそうだ。
それが、僕が少ない時間の中でネットで調べた結果だ。
「ミノルさん・・お察しの通りです」
僕の考えていたことに対してイズミはそう答えた。
この廃棄場では、新たに新品のB型ドールを作ってるのだ。
それはフィギュアプリンターではない。
中古品のB型ドールとして・・
B型ドールはA型ドールのようにアップグレードが出来ない仕組みになっている。
しかし、
B型ドールには、A型には絶対に真似のできない利点がある。
・・それは汎用性の高さだ。
B型ドールの顔が三種類しかないように、その体型にも種類が限られている。
A型のように何千種類もの組み合わせがあるわけではない。
つまり、B型ドールは、似通ったタイプが多く存在することだ。
おそらく、この下では、稼働を停止したB型ドールをバラバラに解体していると予想される。
そして、使える部分を接合して、中古品としてのAIドールを製造している。
当然、そのコアとなる思考回路は取り出し、中古ドールに組み込んでいる。
体は古びて、寿命が来ても、AI部は朽ちないのだ。
そこに目をつけたAIビジネスがここだ。
廃棄場であるのと同時に、まさしくフロンティアだ。
B型ドールは、ここで新たなドールに生まれ変わる。
そんな僕の考えをイズミに確認するように、
「イズミ・・そうだよな?」と強く言った。
「ハイ・・ミノルさんは聡明なお方です」イズミは、さっきのサツキさんの言葉を真似て言った。
中古ドールの新たな製造・・そんなことをする目的は、
やはり、そんな市場があるからなのだろう。買い手がいて、売り手が存在する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます