テストテストテスト114

 拘束されてから数時間。

 腰縄に手錠とかさ、おおよそ善良で、いたいけな18歳の男子訓練生には相応しくないと思ふ。


(犯罪者扱い。俺も、ここまで堕ちた……かぁ)


『答えなさい!』


 取調室。座らされた椅子。

 正面に座する審問官が俺たちが挟む机を思い切り叩くから、驚きにビクついてしまう。


『どういうことって聞いてるのよ!? どんな了見あって彼女たちを連れ出した!? 取り返し付かないほどにイメージを損ねた。彼女たちは私達にとって、とんでもなく大切な商品なのに!』

「……わかりません」


 分かろうはずがない。

 連れ出したのは俺じゃなく、記憶を失う前の俺だから。

 違う人格が表面化して選んだ行いの理由なぞ、寧ろ俺が聞きたいくらいだ。


『いい? よく見てみなさい! この投稿の内容を!?』


 もう何度も見せつけてきたはずなのに、見たくもないものは突きつけられてしまう。

 隊内で支給されたであろう携帯端末。

 SNS画面が表示されている。


「トリスクト訓練生とフランベルジュ教官。二人を連れた少年は、二人と肉体関係があることを匂わせた!? つい最近もだそうじゃない!?」


 見たいと思うはずがない。


(あぁ、そっか。そうなんだ。二人共、記憶を失う前の俺に、ヤラれてた)

 

『人民を守る機関として、自衛官の端くれとして、私達魔装士官は正しくあらねばならない! 強く、清く、気高くなくてはならない! その最たるイメージキャラを、君は落としたのよ!?』


(ハッ……はは……堪らなく情けないねどうも。8ヶ月、丁寧に関係を作ってはみた。彼氏彼女か、少なくともその手前まで関係は至っていた……はずなのにな)


「同じ名、同じ肉体を持ちながら、まごまごして俺が手を出すことが出来ない間に、降って湧いたような《記憶を失う前の俺》が掻っ攫っていったかよ」

『何!? 言いたいことがあるならハッキリ良いなさい!』


(鳶に油揚げをすくわれる。こういうことを言うんだろうな?)


『山本一徹訓練生っ!?』


(この感覚だけは二度と味わいたくなかった。月城さんが久我舘に唇奪われた時、もう同じ後悔はしたくないと誓ったはずなんだけどな)


『聞いて……ない? これほどの事をしでかしておいて?』


 変だな。

 眠たさはないし、お目々もパッチリ。

 なのに、焦点が女性審問官に定まらないというか。ボヤけ、なんか動いてるとしか思えない。

 

(ククッ、何おこがましいこと思ってんだ俺? よく考えてみろ。そもそも婚約者立場は俺のじゃない。《記憶を失う前の俺》のもの。なら、《記憶を失った俺》が出会う前から、そういうことしてもおかしいこと無いじゃないか)


『こ……の……無力無能な下等種如きが、我々優等種の中でも上位2名を穢しておいて、あまつさえ……私を無視……ですって?』


 なんか言われた気がする。

 次の瞬間、視界が定まったのは、首もとをグンと引っ張られたからだ。


『上等じゃないっ!?』


 片腕で引き寄せられ、もう一方の腕は振りかぶられていた。


「ツッ!?」


 グーパンはやって来る。

 そこだけは理解した俺は思い切り目をつぶ……


「……一体、君はなにをしてるのかね?」

『え?』


 いや、予測した衝撃がないこと。


『え゛っ! 貴方は!?』

「まさか聴取相手に拳など振るおうとは考えてはいないな?」


 深く低い、落ち着いた声は、ここに来て新たなものであったことで目を開けた。


(嘘……だろ? 寄りにもよって、この状況でこのオッサンかよ)


「暴力頼みの聴取は、許されないはずだが? 苦痛と恐怖で引き出した発言には、なんの根拠も証拠能力も認められない」

『あ……あ、あ、あ……有栖刻長官閣下!? どうしてここに!?』

「行方不明にあった、最近人気が厚い二人が見つかったと聞いてね。どういう者が連れ出したか、興味があった」


 有栖刻忠勝。

 《防衛省陸上自衛隊対異世界転召脅威防衛室》の室長にして長官。


 椅子に座る俺を、ジロリとした眼差しで見下ろすこのオッサンの事を、俺は嫌いだった。


「話を戻そう。審問官としての職務全うを期待される君が、そのことを知らなかったとは思えないが?」

『しかしこの少年は《対転脅》求められるクリーンなイメージを失墜させた。それは任官する我々魔装士官だけでなく、長たる閣下の顔にも泥を塗ったのですよ!?』


 女性審問官は、現れた有栖刻長官が静止したことに食って掛かった。


「ならば尚更、これ以上の気高さを失いかねることは避けなくてはな。例えば、立場の優劣をいいことに、感情任せに取調べ相手を痛めつけるなど」

『うっ』

「それは拷問。そして今は戦時ではない。違うかな? 捉え方によっては、君の本職務への適正を再考せねばならない」

『申し訳ありません』


(何だこの展開。このオッサンに、まさか俺助けられてるのか?)


 詰められては、女性審問官も閉口せざるを得ない。

 なお、凄く不承不承だ。


「どれ、私も今少し時間を持て余して居るところがある。この少年への質問は、私に任せてみないか? 君は部屋の外で待っていたまえ」

『閣下それは危険です! とんでもないことを仕出かす様な者と二人きりなど!?』

「構わないだろう。彼は異能力者ではないのだし。力のあるなしで埋めようない差がないのなら、さしたる問題はあるまい。何だったか。君が言うところの……無力無能の下等種同士なら」

『そ、それはっ……』


 しかし一転して及び腰になった。

 俺に対して口にした言葉が、きっちりと有栖刻長官の耳に入ったらしい。


「この少年との面識もないわけではない。任せてくれるかね? 勿論君は、『聞かざる体』だ」

『……かしこまりました。何かあっても、出てきてください。『聞かざる体』……これより私は耳を塞ぎます。出てこられなければ気づきません。責任は……』

「私は、いいと言っている」

『……失礼します』


(なるほど、長官は異能力者じゃないのか)


 長官自身の言葉でそれがわかったのだが、逃げるように部屋を出た女性審問官はあとが大変かもしれない。

 長官は無力無能者で、女性審問官は俺にあんなことを吐いた。

 それすなわち、長官に対してもぶちまけたに等しいのだ。


「さて、君は変わらず周囲をかき乱すだけかき乱すな」

「申し訳ありません。閣下」

「んっ?」

「有栖刻長官閣下。この呼び方は、お嫌ですか?」

「……もはや立場は兄でなく、名すら山本ではない。共通する点は、一見して揃わない……か」

「重ねて失礼を。聞き逃してしまったようで」 

「いい。気にしないでくれ」


 ササッと部屋を出た審問官が退いた椅子に長官が座る。

 正面化からじっと、俺の一挙手一投足を見逃さないとするまじまじとしたし視線が嫌だ。


「君とトリスクト訓練生は婚約者だそうだね」

「えっ?」

「小隊長、副隊長の間柄は知っていた。まさか、そこまでの関係だったとは知らなんだ」

「どうしてそれを?」

「訓練生を起用した宣伝活動。その初めに、全国の代表を一所に集め、テレビを介して紹介したことがあったろう? その時に確認した」

「確認ですか。なんです? なら閣下も俺……僕が彼女の婚約者に相応しくないと仰られる口ですか」

「フッ、君からは随分嫌われたものだ。文化祭でのことが後を引いてるようだが?」


 とは言え、この状況では逃げられない。


「断っておくが、私の行いについて謝罪する気は毛頭ない。私は彼らの命を国民の生命と財産を守るために預かった身。そして君の策は最悪、悪戯にその命を散らす恐れがあった」

「弁えてるつもりです」

「だといいのだが」


 言を交わすしか選択肢はない。


「ところで、君のことについて少し聞いて構わないか?」

「え?」

「興味あるじゃないか。無能力者である君では絶対に入れないはずの魔装士官学院に所属してる理由。そうなるに至った過去の経緯など」


 が、ここに来て不本意にも俺の意識は長官に向いてしまう。


「か、閣下はご存知ではないのですか?」


(シキは密かに俺のことを調査していた。待ったをかけた何者かがいるようだった)


「君については三縞校教官レポートで悪評しか上がってこないのでね」


(待ったを掛けたのが『知られることが不都合になる』と分かっていたとしたなら、調査妨害した奴が俺の真実を全て知るはず)


「スミマセン。答えられたなら良かったのですが、なにぶん記憶喪失なこの身では」

「記憶喪失……そんな話も聞かなかったわけではなかったが」

「答えられるとしたら、三縞校に入って以降のことだけ。僕が今の僕として目覚めたのは、昨年の10月頃からです」

「では10月からの話は……」

「ですが、12月に月城さんと出会うまで特に話はなく、4月までの話についてはリハビリしかない。話せることはありません」

「月城? 月城生徒会長のことかね?」


(だがこの反応を見るに、長官が俺についての調査を妨害してるわけじゃなさそうだな)


 何故かはわからない。


「そうか君には、月城生徒会長と言うアプローチチャンネルも存在してるということか」


 顎に手を当て、長官は何かを考え込んでいるかのような。

 その姿勢のまま、目だけ俺に向けてきた。


「では、君の家族については……」

「僕にだって家族はいますよ? 事故で家族を一度失いましたが……」


 なんだ? 

 一瞬、クッと目が細まったような。


「親戚夫婦が僕を引き取ってくれました。従姉は優しくていつでも僕に甘い。そしてその旦那さんである義従兄も可愛がってくれます。どちらも信頼をしてくれて、僕も凄い好きな人達です。この度二人の間に子供が生まれました。僕に、従妹が出来たんですよ?」

「前の家族、君の本当の家族については?」

「今の家族が、僕の本当の家族ですよ」

「そ、そうかもしれないが、悼んだりしないかね? その年で君一人残した。なら不慮の事故か何かあったんじゃないか? それとも、記憶を失ってから今を生きる君は、気にならないか?」

「それは……」


(俺の肉体の生みの親ってならそうかもしれない

。ただ……)


「気にならない訳は有りませんが……」


(その人達はあくまで、記憶をなくす前の俺を自我とし、人格とするアイツの親だって切り捨てるのは悪なのか?)


「父に母。事故でなくなったのは……兄もそうですし」

「っ!? トモカちゃんはっ……!?」

「……えっ…!?」


(俺、何かが失言だった?)


 長官は立ち上がる。興奮すら見せていた。

 が、失言との意味なら長官だって同じだった。


「か、閣下。トモカ……ちゃん……とは?」

「ん? ッ!? いや、何だね? 誰だね? 何か聞き間違いでもしたようだね君も」


とりなしたように咳払いを見せた長官は、椅子に座ると俺から目を背ける。


(違う。これ、誤魔化されてる)


「しかし、せめて亡くなられたご家族へ挨拶の祈りの一つもさせてやっても良いはずと、君は思ったことは無いかね?」

「墓参り、したほうが良いですか?」


 自分から持ちかけた話題だったはずなのに……


「暗い話はやめよう。まぁ、今回のことは、隊内評価に影を落とすだろう。念の為確認を。君はまだ正規士官としての登用を目指してるのかね?」


 強引に、変えてみせた。

 話題とするのが嫌なのだ。


「意地悪な物言いをされますね。僕はちゃんと知ってるのですが」

「ほう?」

「どうあっても僕は正規魔装士官にはなれない。決定事項であることを、僕はとある人から聞きました」

「誰から聞いた……など、余計な詮索はするまいよ。陛下からの覚えも厚い君だ。籔を突いて蛇が出る可能性もある。事実だ。そしてそれは、私の決定事項には違いない」


 色々有りすぎて、怒る気持ちもわかない。

 惰性で聞くしかなかった。


「ならなぜ、そんな質問を?」


 長官のオッサンは、何か嫌な考えを滲ませるように歯を見せ、背もたれに体を預けた。


「どうだろう、卒業後は私の下に来て働いてみないかね?」


 で、そんなこと言われる。


「あの……それどういう意味です?」

「文化祭終了後から君の事を調べ直した。調査に至らなかった点も多いが、君は学術面においてはかなり優秀な部類らしい」


 これまで辛いばっかり。だからいきなりそんなことを言われても、頭は真っ白になってしまう。


「異能力者揃いの魔装士官学院ゆえ埋もれたのだろうね。これが普通一般高校であれば、君の優秀さは突出して目立っていたはず。偏差値の方もやはりというか、CHARMランクの有名私大にすら届きかねない」


(どういうことだ? 今、『やはり』と言ったのか? まるで俺のことを知ってるかのように……)


「それだけではない。基礎体力面なら、《対転脅》を除いた陸海空3自、全特殊部隊員と比べても肉体スペックで劣ることもないだろう」


 今度背もたれに預けた上体を起こし、俺たちを分かつ机に、長官は両肘を乗せた。


「か、閣下の下で……とは?」

「例えばこういうのはどうか? 陸自はレンジャー部隊始め、全国の特殊部隊を転々とさせ経験を積んでもらう。そこから先は君次第だが、集大成とし、《S》訓練過程にも送り込みたい」

「エス……特殊作戦群……アメリゴ合衆国最精鋭部隊グリーンベレーの桐桜華皇国版。特殊部隊が行き着く最たる先……」


 ギラついた目は俺を捉えたまま、前のめりになるから、プレッシャー押された俺は椅子に座ったままたじろぎそうになった。


「僕に何を求めてるんですか? そんな地獄の職場、それほど僕が嫌いですか?」

「何か誤解してるようだね。それでやっと折返し。君に求めるのはまだ先にある」


 笑ってはいるものの目が笑ってない。

 オッサン、純粋な笑顔など持ち合わせてはいないかもしれない。


「そこまでの経歴さえあれば、いくら無力無能とて異能力者は君を軽んじまいよ。そして君には、他の誰しも持ち得ぬ、無力無能者として異能力者達の中で生きてきた経験が活きる」


(だから、意味分かんないんだって)


「《対転脅》と、それ以外の自衛官部隊との間で、リエゾン・オフィサーとして活躍してほしい」

「リエゾ……連絡将校ですか? いわば異能力者自衛官と無力無能者自衛官との橋渡し役」

「調整役にして通訳者と言ってもいい。異能力者達の常識が、無能力者達に通じない事も多いからね」

「その逆もしかりです……が、リエゾン・オフィサーなんて、佐官の仕事です。防衛省幹部の仕事で……」

「そう。私は君に、将官になれと言っている」

「ッツゥ!?」

「怖じ気づいたかね?」

「怖気づくことの何が悪いのですか? 怖がって然るべきお話です」


 本当に純粋さはないのだろう。

 せせら笑う。悪意が見えた気がした。


「よくよく考えて見るに、君は私と似ている」


(絶対に似てない)


「私と同じく無能力者でありながら、異能力者の魔窟でシノギを削る。ならば無能力者であることの葛藤など、同じものを見て、感じてきたはずだ」


(確かに共通点はあるかもしれないけど、やっぱり似ていない)


「正直、先の女性審問官には失望した。国に尽くし、民を守るための組織に身こそ置きすれ、選民思想が強い」

「《異能力者優位主義》ですか?」

「故に私は、如何にそれが異能力者集団であっても、そのトップまで異能力者を据えるべきではないと思っている。権力を持たせ、増長してしまえば、国への脅威にもなりかねない」

「まさか……閣下が長官をしてるのは……」

「異能力者が増長しないよう、時折押さえつける為だ」


(これは……マジだ)


 ため息交じり。

 色々漲った表情はしているものの、声色には「うんざり」が見えた気がした。


「しかし押さえつけるだけでは隊内の不満分子が増えるばかり。適度に妥協することも寛容だ。が、トップに立ち、上から下を眺めるだけでは妥協点もわからない」

「閣下は、僕がリエゾン・オフィサーをすることが、閣下では気づかない異能力者に対して妥協するべき点を僕に見つけて欲しいのですか?」

「そのとおり。その作業を積み重ねて欲しい。妥協点が示されたなら、異能力者が少しでもストレスやガス抜き出来るよう譲歩していきたい。君には、私のその工程すら学んでもらいたい」

「それ以上、まだ学べと言うんですか!?」


 複雑じゃないの。

 閣下は苦手だ。本来なら現れた時点で万歳しながら逃亡したい。

 取調室に現れた時、終わったとも思った。


「私は言ったね? 『押さえつけるしかできない』と。いつまでも私のやり方のままでは、いつかは反乱が起きてしまう」


 意外や意外。

 流れは変だが、ちゃんと会話は繋がっていて、ルーリィとシャリエールが奪われたことを考えなくても良くなった。


『だから君に改善点を見つけてもらい、改善を実施する場面を学んでほしい。その経験と学びは、私の次にこの立場に立った時、非常に有益なものとなるはずだから』


(ある意味じゃ、ありがた……)


「……ん?」


(なんか今、とんでもない事を聞かなかったか?)


「あの、スミマセン閣下。今の……冗談か何かですよね?」

「こうして話すのは二度目ではあるが、私が冗談を言うような人間かどうか位は知っているはずだが」


 思わず立ち上がりそうになった。

 しかし腰縄が椅子に括り付けられてることもあって立ち上がれない。


「山本一徹訓練生、私の次は、君にしか任せられないと思っている。私と同じ共通点があり、私以上に異能力者社会に溶け込み、理解と造詣が深い君にしか」

「ちょ、僕は魔装士官学院じゃ落ちこぼれで、まだ18歳で……」

「17年待とう。35になる頃には、君が次の《対転脅》長官だ」

「なっ!」

「35でその立場なら相当の出世だ。国のあらゆる点で融通は聞き、発言力も影響力もあるだろう」


 初め長官が現れビビッて、いきなりの発言で頭は真っ白。

 そうして……


「どうだ? 久しく邂逅した山本兄弟が打ち上げる花火としちゃ悪くない。やろう徹。俺たち二人でこの国を守るんだ。救ってもらった命の恩、約束された成功を持って返そう」


 そこからは衝撃発言すぎて、受け止めた俺の頭は一杯一杯。

 あとにぶつけられた発言は、今のもそうだが、音として耳に入るも、言語として頭に認識するには許容範囲を超えていた。


『お許しください! 現在この部屋には……』

「んあ〜ウッサイ!? そして何人たりとも、この私の前に立ち塞がることは許さない」


 いや、異質な声なら容易に頭に割り込んできた。

 ずっとオッサンの声を耳にしていたから、女性の高い声は……


「やってるかいっ!?」


(そしてここは、暖簾を腕でたくし上げ開店状況を確認するような居酒屋じゃない)


 意気揚々とした声は、間違いなく室内の空気にそぐわない。


「こ、これは一体。なぜ貴女様がっ!?」

「部屋の外で待機していた審問官は、お前が来たとき同じ事を聞いたのだろうね」


 そもそもその新たな声の主は、本来この場所に立つに似つかわしくなさ過ぎた。


「囚われのお姫様……もとい王子様……にしてはイケメン要素が足りないね。あ〜……バーバリアンで行こう! 囚われのバーバリアンを助けに来た!」


 そのお方の前では、さしもの長官でさえ後手に回ってしまう。

 威勢よく俺の後ろに立つと、まずは椅子に括りつけられた腰縄を解き、女性審問官から無理やり奪ったか、鍵で俺の手錠も解錠した。


「じゃあ一徹くん。行こっか♪」


 呆気にとられてるのは俺もだが、満面の笑みを浮かべたこのお方は、こともなさげに右腕に抱きつくと、無理矢理立たせた。

 あとは、手引かれるまま俺は付いていくだけ。


「そだ一徹君これだけは言っておく」

「な、何を……ですか?」

「何か肝心な事は聞けなかったけど、私は扉前で『聞かざる』していた審問官の横で大絶賛盗み聞いた」


 取り調べ室を出るその時、立ち止まることになったのだが、声の主は俺に呼びかけるも、目は長官に向いていた。


「覚えておきなよ? 有栖刻がどれほど君を高く評価し取り立てようが、君は私だけの物だ」

「……御心のままに。陛下」

「では行くよ? 先ずはお天道様の下に。と、もう夜だったね。外に車が止めてある。中にネネを待機させている」


 再び手は引かれ歩みはじめる。

 まさかだよ。

 この場に現れこの苦境から救い出し、手を引いてくれるのが、この国の皇、日輪弦状四季女皇陛下だなんて。











あ〜~~~~~~~~~~~~~~~~~pc死んで、スマホで入力するとか何この無理ゲー。


ルビ振りのやり方が無茶無茶めんどいもので、強調したい箇所もしないままとゆ〜


会社パソコン使うわけにもいかんし。

2ヶ月位新PC買うまで、どれにするか考える中、更新放置し、構想練るだけにしとこうかな。


あ、ダイジェストみたいな飛び飛びにもかかわらず、レビュー頂きました。

滅茶苦茶嬉しいです。

書き続ける燃料になります。


いっそのこと、読んでくれる方には鬱陶しいだけなの承知で「クレクレ」叫んでみようかな。


では、また。

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