18.増悪の人

眼中にもないあなたの言葉に 私の耳は腐っていく

そうして聴こえなくなったのをあなたの所為にすることさえ躊躇われる

存在ごと覚えていたくないあなたを 何にしても介したくはないのだ

それでも聴こえなくなったのはあなたの所為以外の何物でもない

あなたが何と言ったのかなど覚えてはいないし 覚えているなど私が許さない


躊躇いもなくあなたを殺す 殺しても殺したりないこの思いを抱えて・・・


聴こえずの中 いつまで経っても苛まれることのない罪悪感に口元を綻ばす

またその最中 一度も耐え切れなくなることのない良心の呵責に笑みを溢す


いつか見えなくなった誰かの姿が 私の脳裏を蝕んでいく

そうして綻んでいった記憶を繋ぎ止められずにいることに私は心を砕いた

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