第56話 魔物の活性化 1

 エクスはレイと2人だけで討伐依頼に来ていた。


 それはエレメシアスに来る依頼が増えたことでランク別に処理していかないと間に合わなくなってきていたからだ。


 そのため他の人たちは自分のランクに合った依頼を2〜3人でこなしていた。


 そんなわけで、Bランクはエクスとレイしかいないためこの2人での依頼となっていた。


「なんで私がエクスと2人でやらないといけないのよ。同じ依頼をやっていたら、あんたに追いつけないじゃない。それにこの依頼も私1人で簡単なのに」


「そんなこと言うなよ。僕は1人だと無理なんだから」


 エクスはスキルがないせいで戦闘はできるがそれ以外は何もできなかった。それはランクが低い場合はそこまで問題にならなかったが、ランクが上がると魔物の素材の需要も上がり、依頼達成以外からも収入源となるため、ランクが上がる程魔物の素材も重要となり、スキル「空間収納」などが必要となってくる。「空間収納」は基本的なスキルで誰でも取ることができる。ただし、容量は個人により異なる。


 そのため必要となるスキルが上位のランクになる程多くなり、ますます『経験値増加』を持っている者の評価は下がって行ってしまう。


「確かにね!あんたは戦闘だけで、他は何にもできないからね!」


 少しでもエクスより優れていることがあるだけでレイは上機嫌になっていた。それにエクスから頼られることが嬉しく感じていた。


「戦闘だけと言うなよ。僕だってスキル欲しいのに、何をやっても得られないんだから」


「それはずっと思ってた。なんでスキル一つもないんだろね?まあ、その代わりレベルが2万超えたんだし、良いじゃん」


「僕はスキルが使ってみたいよ」


 エクスは未だにスキルを手に入れられないことを思い出し、気持ちが沈んだ。


「それより、あんたの妹どうなってるのよ」


「ん?可愛いだろ?」


「そう!可愛い、って、そうじゃなくて!未だに模擬戦じゃ全然勝てないんだけど。私より強いっておかしいでしょ」


「確かに。2年も年下だし、実戦経験も全然ないからね」


「そう!絶対に私の方が強いはずなのに」


「まあ、僕の妹だしね。昔から僕に憧れていたみたいだから、追いつこうと努力したからだよ」


 エクスはそんなシスコン気味の発言をしていた。それにはレイも納得できず、そこから口論になった。


 道中、そんな気の抜けた話をしながら進んでいた。そこには依頼に慣れたからか、緊張感など感じられなかった。

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