第57話 魔物の活性化 2

 エクスとレイは話しているといきなり魔物に襲われた。それにいち早く対応したのはレイであった。エクスは普段の癖で逃げる準備をしていた。


「エクスもちゃんと攻撃しなさいよ!」


「そっか、今日は倒して良いんか」


 普段エクスやエーシェたちの『経験値増加』持ちだけで依頼を行くとき、依頼とは関係ない魔物と遭遇した場合、基本的に逃げていた。それは魔物の死体を処理する手段がないからである。処理する方法は持ち帰ったり、その場で燃やしたりだ。しかし、スキルがないエクスたちは当然ながら、持ち帰るなんてできないし、燃やすにも簡単に火をつけることのできる道具なんてないため、自力で火を起こす必要があり、その労力を考えたらむやみに魔物を倒すことができなかった。


 しかし、今回はレイがいるため何も考えず倒すことができた。レイは様々なスキルを持っており、基本的に全てのことに対応できたからだ。


 それから現れる魔物を全て倒しながら進んでいた。倒した魔物はレイが全て回収していった。


「普段は依頼以外の魔物は倒さないんだっけ?」


「そうだね。レイかエシルがいないときはほとんど逃げてるね」


「倒した方が報酬が増えるのに。もったない」


「持ち帰るのも燃やすもの僕らにとっては報酬に見合わないからね。逃げるしかないんだよ。まあ、そのおかげで逃げ足も身を隠すのも上手くなったから良かったけどね」


「それって、良いことなの?」


 レイはエクスが何とも言えない能力が増えたことを喜んでいて困惑していた。


「そりゃあ、僕にとっては余計な体力を使わなくなったから、依頼も少し楽になったし、良かったよ」


「そう……」


 レイはやっぱりエクスの喜びに共感できず、困惑していた。


 それから目的地に着くまでに異様な量の魔物と遭遇し、エクスもレイも少しおかしいと思い始めていた。

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