半年後

 レイがギルドに入ってから依頼が多く入るようになって資金の方がかなり潤ってきた。そのため、ギルドの悩みは少し解消された。


 一方で依頼が増えたことでアシルの悩みが増えた。


 それはエクスのレベルについてだ。


 これは前から悩みの種だったのだが、エクスのレベルがいよいよ意味わからなくなってきた。


 エクスが入ってから1年で2500程上がったのに対してそれから更に1年後、エクスの今現在のレベルは9316とレベルが6000も上がっていた。


 このレベルまで来るとアシルとナティとルアでも敵わなくなっていた。


「本当にどうするんだよ。俺らじゃもうどうにもできないぞ」


「確かにここまでレベルが上がるとは予想外ですね」


 アシルのぼやきにナティはそう答えた。


「本当だよな。入ったばかりの新人が俺たちよりもレベルが高いなんてやってられないよな」


 ルアがそう冗談っぽくそう言った。


「ルア、そのことは言わないでください。それにエクスのステータスを見て、レベルが高いだけなのも考えものですよ」


 そう言いながら、3人はエクスのステータスを見ていた。


_____________

エクス

Lv9316

スキル:

なし

恩恵:

経験値増加

_____________


「確かにこれじゃあ、不便なこともあるよなぁ。でももう俺たちはエクスには勝てないんだし、スキルがないことが一概に悪いと言えなくなったよな」


「私も最初は『経験値増加』持ちを雇うなんて信じられなかったけど、エクスを現状を知るとそれが正しかったと言えますね」


「そうだろぉ?」


 ルアとナティの話に対して、アシルは自分の考えが正しいと肯定されたと思い、得意気にそう言った。


「そうとは言えませんよ?エクスが特別おかしいだけで、他の『経験値増加』持ちはレベルが2000前後の上、私たちよりもスキルの数も少ないですし、まだ成功とは言えないですよ」


「そうだよな。それにまだレベルが1000くらいのレイにもエクス以外の『経験値増加』持ちは模擬戦で勝てないくらいなんだし、やっぱりエクスがおかしいだけで、スキルの方が重要だと思うんだよね」


 得意気だったアシルに対して、ナティとルアはエクスが特別という結果で、結局『経験値増加』持ちの評価は上がることはなかった。


「それより、これからエクスには依頼をあまり振らないようにして、他の『経験値増加』持ちを優先してレイに同行させるようにしないと、本当に私たちじゃ手に負えなくなりますよ」


「そうだな。しばらくエクスには休んでいてもらうか。それに、報告を聞く限りほとんどエクスがすぐに終わらせてしまっているらしいし、それじゃあ他の人の経験にはならなしな」


 そうしてしばらくエクスに依頼を与えないと言うことで話がまとまった。

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