第32話 討伐依頼 3
しばらく進んで行くと、広い空間に出た。
「なんだ?急に広くなったぞ?」
ルクセンの声はその空間で反響するように聞こえた。
「確かに広いね。何かあるか調べてみましょ」
「そうだな」
そう言って、エクス達は灯りが届く範囲でその広い空間を調べた。
その空間は一軒家が丸々収まる程広く、そこからいくつかの細い穴があり、更に奥まで続いているようだった。
「まだ、奥まで続いているみたいだね」
「そうだな。これ以上は帰り道もわからなくなるだろうから、一旦帰ろうか」
「そうだね」
「よし!帰ろうか!」
エクスはルクセンとエーシェが帰る気になったのを逃さないためにすぐさま帰ることを賛成した。
しかし、その時にはすでに遅かった。
「「「グギャアアアァァァ!」」」
帰ろうとしたその時、叫び声と共にいくつもの穴から大量のゴブリンがその空間へと流れ込んできた。
「うわっ!ゴブリンが!」
そこからゴブリンたちとの乱戦が始まった。
ゴブリン、1体1体は弱いが360度絶え間なく襲い掛かってくるため、攻撃を全て防ぐことは出来ず、少しずつ攻撃を受けていった。
「だから言ったのに」
エクスは奥に行くことを強く反対しておけばと後悔した。
「今は、過去のことを悔いるより生き残るために体を動かせよ!」
しばらく戦いを続けていたが、ゴブリンはまだ穴から出てきていた。
「ほんとにどれだけいるんだよ!——うおっ」
そんな愚痴をこぼしながらゴブリンを狩っていった。しかし、愚痴をこぼす余裕な無くなっていった。それは、閉鎖的な空間でゴブリンの血など臭いによる不快感やゴブリンの死体が辺りに散らばっており、足が取られたりしてうまく戦えず、段々と攻撃を受けていく回数が増えていった。
「もう、ほんとに最悪!なんなのよ、この酷い臭いは!」
「帰ったら、すぐに洗い流すか!」
「そうだな!」
そんなエーシェの声を聞きながら、エクスとルクセンもお互いに声を発した。そうしてまだ、余力があることを確認した。
そうして戦っていると、他のゴブリンよりも体の大きいのゴブリンがその空間へと入ってくるのが見えた。
「なんだ、あれ?」
「はっ!所詮はゴブリンだろ!」
エクスの呟きにルクセンが反応し、そのゴブリンの方へと向かって行った。
「おい!どこに行くんだよ!」
「アイツを倒しに行くんだよ!あれがここのボスだろ!」
そう言い、ルクセンはそのゴブリンとの距離を一気に詰め、攻撃をした。
「は?——」
しかし、そのゴブリンにはほぼ無傷でルクセンは逆に反撃をくらってしまった。
そのゴブリンはルクセンを払うように拳を振るい、攻撃をくらったルクセンは勢いよく壁にぶつかった。
「ルクセン?!」
エクスはルクセンが倒れたことに意識が持って行かれて、少しの間動きが止まってしまった。
「エクス!ルクセンを守るよ!」
「あ、ああ!」
エクスはエーシェの言葉で引き戻されて、急いでルクセンの元へと向かった。
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