持っていてはいけない恩恵『経験値増加』を持った男
神谷霊
プロローグ
私は今の状況を理解することがまだできていなかった。
(どうしてこうなった?)
私の目の前には広場を埋め尽くす程の人間が集まり、私が現れるのを待っていた。そして、私が現れると一斉に歓声が上がった。
(もう一度言おう、どうしてこうなった?)
私が人間ならば、こうなることも想像できる。
だが、私は魔族だ。しかも魔族の長、つまりは魔王である。
そんな魔王である私が今、人間たちに歓迎され、迎えられている。どう考えてもおかしい。
まあ、別に今の状況が嫌と言うわけではない。見方を変えれば、人間を従えている状況だ。むしろこの状況は私の目的である世界征服の一部を達成している。
だが、やはりこの状況は少し納得できなかった。魔王である私が好意的に迎えられるというはやはりおかしい。それにある男さえいなければ、今頃、人間たちを恐怖によって支配できていたはずなのだ。そう考えるとこうなった元凶の男が憎くなった。
私はこうなった元凶の方を向き、その男を睨んだ。しかし、その男は睨まれても気にも止めず、無関心そうにこちらを見返してくるだけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます