不注意なのは分かってる

Aと ”不注意さん” は同じ部屋でくつろいでいました。


”不注意さん” が物を取ろうとしたその時、うっかりでした。Aの肩に ”不注意さん” の足があたってしまいました。そのせいでAはその時食べていた食べ物をこぼしてしまいました。


”不注意さん” の不注意はその家族の中で著しいものでした。


Aは同じような被害を ”不注意さん” から幾度となく受けていました。この前はうっかり大怪我をしてしまう1歩手前でした。


それ以外にも ”不注意さん” は人の話を聞きません。同じことを何度も聞きます。

Aはイライラと煮えたぎっています。


さて、その時 ”不注意さん” は何を考えていたでしょう。


(ああ、またやってしまった)


”不注意さん” は自分の不注意さを理解していました。このようなことを自分が起こしやすい傾向にあることを理解していました。


その度に ”不注意さん” は自分を責めます。追い詰めます。 ”不注意さん” は自分に自信がありません。何をやっても失敗する出来損ないだと思っています。そんなことない。 ”不注意さん” にだって得意なことはたくさんあるのに。


そんな状態の ”不注意さん” をAは激怒しさらにさらに追い詰めます。お前は本当にダメ人間だな。気をつけることも出来ないのか?


ああ、ああ、やめてあげて。そんなことを言うと ”不注意さん” が本当に壊れてしまう。ガラスのように薄くて綺麗にキラキラ光るのに、割れてしまう。


しかし、Aの気持ちも分かります。また大怪我させられるかもと思ったら恐ろしくてたまりません。


2人はどうして一緒にいるのでしょう。離れればいいのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る