部活の先輩
勇気を出して、初めて部活に入った。
私は部の中でも引っ込み思案で大人しい性格だった。しかし通い続けることで、私というジメジメとした、自分を苦しめ続けるような性格を変えられる、人生を楽しめるような性格になれると信じていた。
部での窮屈さに息苦しかったが、それでも成長を信じて通い続けた。
ある日部活でトランプゲームをした。大富豪だ。
楽しめなかった。他の人のように自分を出してトランプの結果に一喜一憂することなど怖かった。
私には気になっている先輩がいた。大人しい私を気にかけて何度か気さくに声をかけてくれた先輩だ。
先輩が友達と笑いあっている姿をずっと見つめていると、彼は笑いながら、流し目でこちらを見た。ツリ目気味の特徴的な笑い目が、こちらを見た。
その瞬間私は、スローモーションな動画として、時間が切り取られた心地がした。
その目が頭から離れなかった。一体何を考えているのか、考えているようで何も考えていないのか、その不明瞭さにどきっとした。
「なんだよ、かまってほしいのか? 本当に手のかかるやつだな」
とでも言いたげなそんな目をしているようにも思えた。
もしかしたら、そんなふうに見下しているのかもしれない。もしかしたら、私の思惑全てを見通しているのかもしれない。どっちなんだろうか。わからない。わからない。
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