短編集
しま
最低のレッテル
「おはよう」
「……」
返事がない。ボクのほうを見向きもしない。無視されたんだ。
あっ、そうか。そういえばボクって、こいつに最低のレッテルを張られたんだっけ。
こいつは、みんなから好かれている。
「彼の言うことは、間違いない――信用できる」
そうみんなに思わせるほど、こいつの信用は厚い。どおりでみんなの目が冷たいわけだ。
弁解するべきだろうか。透けたみんなの体をボクは見渡した。とても修復できそうにない深い何かを感じた。
ボクは諦めることにした。何もかもがだるい。確かにボクは酷いことをしたのかもしれない。でも、あいつはボクの友達だから、許してくれると思ってた。
はは、まあいいや。人とかかわるのなんて疲れるだけだし、ボクにはパソコンがある。ゲームから動画閲覧までなんだってできる、文句も言わない優秀な友達だ。
ボクはみんなから疎外されていた。ボクは孤立していた。無視も立派ないじめだって聞いたことがある。いじめられてるボクはなんてカッコ悪いんだろう。でもすべての原因はボクにあるのだから仕方ないのかもしれない。別に辛くなんてない。寂しくなんてない。
ある日のことだ。転入生がやってきた。なんとその転入生は普通にボクに話しかけてきた。ボクは彼と仲良くなった。彼はなんにも知らなかった。だから、ボクと付き合うことが出来た。ボクは彼を失いたくなかった。みんなの前では、仲良くないふりをしてくれと頼んだ。彼はきょとんとしながらも快く了承してくれた。「なんで?」なんて聞かなかった。彼はボクとみんなのいざこざを何となく空気から読み取っていたのだと思う。
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