よく見れば
稲荷 古丹
よく見れば
「あれ?俺にかな?」
道路を挟んだ向こうの歩道で誰かが手を振っている。
眼鏡をかけていないので、相手の輪郭がぼやけて見えるが、
確かにこちらに向かって手を振っているようだった。
「誰だろう、知り合いか?」
後ろを振り返ってみても他に人はおらず、向き直るとやはり自分に向けて手を振っているようだった
「眼鏡出すの、めんどくさいけど、無視するのは不味いかな」
自分も手を振り返してみたが、相手は手を振るのを止めようとしない。
間違いだったのかと思いもう一度振り返ってもやっぱり誰もいないので、今度はより大きく手を振ってみた。
「おいおい、いつまで続ければいいんだこりゃ」
ふいに体が軽くなったかと思うと、体が浮かび上がりあっという間に上空へ飛び上った。
「わあ、こりゃどういうことだ」
わけもわからないまま気を失ってしまった
「で、誰こいつ?」
「手を振ってたからこっちも母星への帰還者なのかと、違うの?」
「違うに決まってるだろう、どう見たってこの星の原生生物だろうが。視力落ちたんじゃないの?」
よく見れば 稲荷 古丹 @Kotan_Inary
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