さよなら、そしておはよう

雑草ころね

第1話

「今日もいつもと変わりない満員電車か.....」


 ふと呟きいつもと同じ光景に見飽き、変わった風景を見たいと思ったが、これ以外の生活も到底考えられないと、毎朝無駄な考えをしながら電車に乗り、気が付けば駅についている.....

 目に入るニュースは悲惨なニュースばかりで、気が上がるニュースなんてものは全くといい程ない、SNSを開けば人身事故 テレビをつければ交通事故....


「悲惨だな.........俺も疲れたよ......そろそろ引き際かな....」


 毎日のように「死」を考え、生を諦め、やめようとしていた。


「今日死ぬか.......」


 縁起でもないことも考えた、しかし今日に限っては気分が乗らない、いつもより体に重りを括り付けられてるような感じがした。


...........................................................................................................................................


「定時だ.....今日は帰れなさそうだな。」


 先に帰る上司を横目に、仕事をひたすらし 毎日の目標を立てられそれを終え帰る。 ただただ飽き飽きするような生活を毎日、送ってきた。


「終電ギリギリ間に合った.....」


 ここで線路に飛び込めば、明日会社へ行かずに済む..... という考えが浮かんできた、体は疲れ切りこの平凡な生活にも疲れ、今までの苦悩が急に脳裏焼き付き、足は勝手に前へ、前へと進んでいた。


「電車が来ます、危ないですから黄色い線の内側へお入りください。」


 迫りくる電車、止まらない足、黄色い線を越えて、男は線路へと体を投げ出した。

しかしブレーキは間に合わず、そのまま下敷きとなってしまった。


「お疲れ。」









「これで、俺の人生は終わった。」


 終わり何も聞こえないはずなのに、周りから物音が聞こえる


「どういうことだ?」「俺は死んだはず」


 目の前が明るくなった


「フルダイブ体験お疲れさまでした」


 は?


「俺は電車へ飛び込みそこで人生を終わらせたはず.....体験?どういう...」

 

 勿論、頭は追い付かない。


「貴方は先行フルダイブ被験者ですよ、自ら応募し日本コースにしたんですよ」


 よくわからない、ってか分かるわけがない。


「というと?」


 記憶は消されると同時に、多額の報酬をと日本コースの場合報酬が増えるという事です。


「なぜ日本コースは増えるんだ?」


「そうですね....日本コースは ストレス、少子高齢化、自殺等の理由で少し多めになっておりまして......」


 ここの世界の俺は、報酬欲しさに日本コースにしたって事か......


「まぁ案の定と言ってはおかしいですが、貴方は日本コースの通り、自殺で被検を終わらせましたね....最近は恒例化してますけども。」


「俺以外にも、似たようなことをしている人たちはいるという事か?」


 俺だけ被験者ってのはあるかもだがコースがあるということは他にも居るって事だろう......


「そうですね、居るにはいます 貴方が被検中に話したことがある相手も被験者です」


結構身近だな.....


「そんなに身近にいるんですね.....」


「結構いますよ。何万人と」


結構規模大きいなオイ


「それでどうされます?一応一生楽して暮らせる報酬は与えてありますが」


「ちなみに報酬はいくらだ」


「3億となっております」


「確かに何もしなくて生きていけそう.....」


「仕事も紹介することは可能ですが。」


 急に本当の世界へ戻り、すぐ仕事ってのはきついなぁ......


「考えておきますね」


「分かりました、何か問題があればこちらにメッセージを送っていただければ対応します」


これからどうするか。





 

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