そして赤い吹雪がやんだ ta charfe wozsxo matogo
梅津裕一
第一部 ko:na 出会い
第1話 rxafs ta rxafsa 少年と少女
一本の矢が少女のそばの雪に刺さった。
白い雪が寒冷な大地や森を覆っている。
少女は雪の大地を歩き続けた。
矢から隠れられる場所はない。
だが、少女はなぜか笑った。
"
「ははは!! あんたの弓の腕は最低ねっ!」
少女は毛皮をまとっていた。
当然である。
ここはイオマンテの南部であり、つまりはセルナーダで最も寒い土地なのだから。(訳注 セルナーダは地域の名称であり、南半球に存在するため南のほうが寒い)
そして季節は冬の始まりである。
また大量の矢がどこからか落ちてきた。
なぜかすべての矢が少女の体に当たらなかった。
"fun...
「ふん……馬鹿ね! あたしはすごく運がいいのよ! あんたらの場所はわかった。左の黒い岩の裏側ね」
少女はこの状況を楽しんでいた。
赤みがかった金髪の少女だ。
頭にはフードをかぶっているが顔は見える。
美しいというよりは可愛らしい顔立ちだ。
目が大きく、瞳は胡桃色である。
背丈は普通だが体型はわからなかった。
矢で攻撃され続けているのに怯えていない。
少女はホスに憑かれているのだろうか、とシュルトスは思った。(訳注 ホスは狂気の神)
たまたま、彼は奇妙な少女が矢で攻撃をうけているところに来たのだ。
おそらく、少女の敵はちゃちな山賊だろう。
いま、シュルトスはトウヒの森の中に隠れている。
男たちが苛ついたように黒い岩陰から少女に近づいていった。
少女の予想は正しかったのだ。
"
「くそったれが! なんで矢がこの女に当たらないんだ!」
山賊らしい男たちはさまざまな武器を持っている。
剣、短剣、斧……ひどく多様な武器だ。
男たちの数は五人である。
みな髭を生やしていた。
面倒なことになった。
少女は犯され、殺されるだろう。
あの忌々しい「国家魔術師」もこんな田舎にはいない。
シュルトスは舌打ちして男たちに走っていった。
山賊たちがシュルトスを見る。
"
「誰だてめえ? まだガキみたいだ」
シュルトスは怒りを覚えた。
"
「俺はガキじゃない!」
だが、実際のところ、シュルトスの背はひどく低い。
だいたい五エフテ(訳注 百五十センチ)ほどだ。
たいていのものが彼を十三歳くらいの少年と間違えるだろう。
まだ顔がひどく幼い。
赤毛の髪と鮮やかな青い瞳をしている。
しかし彼の外見はなにかが異様だ。
異常に長い、大きな剣を背負っていた。
刀身が長すぎるので剣は横向きになっている。
それを皮のベルトで固定していた。
少年が「横に」大剣を引き抜いた。
男たちは笑っていた。
だが、シュルトスが怪物じみた大剣の柄を掴んだので彼らの顔が蒼白になった。
みなシュルトスがあの重い大剣を使えるとは信じていなかったのだ。
"wow!"
「あらっ!」
少女が叫ぶ。
"
「あんた、すごいわね!」
"
「思い出した……怪物の噂を聞いたことがある」
一人の男が言った。
"
「まだガキみたい外見なのにその怪物は大剣で人々を殺すって……」
"
「怪物?」
"
「くだらない噂を信じるな」
突然、強い風が吹き始め、地表の雪を巻き上げた。
白い霧のようなものが生まれる。
"aaaaaaaaaaaa!"
「ああああああああ!"
シュルトスが叫びながら大剣を振る。
妙な音がした。
霧が刀身の圧力で斬られたように見える。
そして一人の山賊の頭が飛んでいた。
少し後に、大量の血が勢いよく吹き出す。
シュルトスは完全に大剣を使いこなしている。
"ma.
「か、怪物!!」
"
「逃げろっ!!」
山賊たちは一斉に逃げ出した。
"fun..."
「ふん……」
シュルトスは舌打ちした。
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