第13話≪ハル/蝶TEUの章≫ーバベルの塔の蝶—

私は終わりのない果てしなく続く巻貝の中の螺旋状の階段、バベルの塔を息を切らしながら登りゆく。

バベルはヘブライ語で混乱を表す。

螺旋は無限に上昇する構造で、永遠の時間や進化の営みを含意する。

人は何故努力するのだろう?

わたしは努力という言葉が嫌いだ。

だけど努力という幾度の苦難や試練を乗り越えていくことで、達成感を味わい生長し一皮剝けた私となりカマキリの視点から巨大な世界を一点を集中した眼をカラーコンタクトレンズのように嵌める。

冬になり越冬できない身体は、蛹の鎧を着る。

蛹のわたしは暖というもので「生」の合図の鈴なりのコーラスで眠りから覚める。雪解けの中から聖の鼓動。春のドレミファソラシド、いろはにほへとの息遣い。土筆が息吹く。桜が薄紅色の虹を描きながら舞い散る。私は妖艶な蝶【teu】になり花の蜜に誘われるが儘にひらひら羽ばたく。アゲハチョウ蝶はゆらゆら一転すると鷲になる。鷲は大気圏を貫き雲の上からこの世界から360度自由に見渡す。滑らかに飛行機をかわし、翼を広げてダイナミックに宇宙を旋回する。わたしだけの俯瞰力で天地創造。星と隕石と超微粒子と太陽系の惑星とともに浮いてるわたし。そこには重力も定めもルールもない。狭い箱なんてポップコーンを作る裁量で弾け吹き飛ばしてしまえばいい。


今、過去、今、未来、今、現在、今、昔、今、この先…


カオス?ケイオス?シュール?アヴァンギャルド?


海の神が大災害という氾濫を巻き起こしたら私は地球の子どもたちと善人と動物と自然の恵みをノアの箱舟に乗せて月【ツキ】へ向かう。


「生」にしがみつく。

「生きる」とは何だろう?

「死」とは絶望だろうか?

「死」とは諦めることとイコールだろうか?

ヒトは「死」を受容するまでに4つの段階を経るといわれている。

第一段階、拒絶。

第二段階、怒り。

第三段階、絶望。

第四段階、受容。

拒絶、怒り、絶望、諦めて達観してその状態は果たして本当に「死ぬということを受容できた」といえるだろうか?ヒトはそんなに簡単にすんなりと「死」を受容できる生き物なのだろうか?

明日キミは死ぬ。

突然の死の宣告。

頭が真っ白になってしまうだろう。

明日もし私とキミの命日なのなら、私とキミはあと24時間で何をしようか。

わたしから最高の快楽とエクスタシ―をキミに捧げよう。

但し、わたしからの質問にスペシャルなアンサーのアンサンブルをキミが叩き出したらのお話。

キミの大脳報酬系はわたしと何をしたいかで一杯。

まだ24時間ある。もう24時間しかないと焦るキミは私の眼には可愛らしく映るよ。

強がり、見せかけの上っ面はあぶなかっしい。

素のままの姿を見せあえる関係。

体裁もなく裸でいても服を着て交ろうとしているキミは息苦しい筈だ。

最高の快楽。じわじわ押し寄せる快楽の波。

キミはまだ蛹のまま。

私は何処からきて、いずこにゆく者だろうか?

蝶【teu】はバタフライ。水の中で尾を揺らし背を表にして泳ぐ。この不思議な浮力から遠く遠く遠くキミは忘却の彼方へ。私の膝枕で安らかに居眠りするキミを愛でよう。

柔らかさと重力に逆らう一筋の未来。

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