軍人を辞めて定時帰宅を目指します
南河原 候
定時帰宅は当たり前
夕方十七時〇〇分。定時帰宅を済ませて自分の家へと向かう。それも急ぎ足で向かう。早く家に居る奴に会いたい衝動が身体を動かして家へと急がしてくるんだ。
大丈夫だろうか、一人で寂しくないだろうか、毎日の様にそんな事を思っている。本人は大丈夫と言うのだが心配はものは心配なんだ。俺が仕事に行っている間に何かあったらと思うと………
そして、あまり他の家と外見は変わらない一軒家の前で足を止める。ドアの上辺りには『レーク=ユーグラム
レーシア=ユーグラム』と書かれた看板が釘で打ち付けてある。そう、ここが俺の家で俺が会いたいのは愛して止まない可愛い奥さんにだ。
ガチャ、と音を立てて家のドアを開ける。
そしたら、白いブラウスと胡桃色のアンブレラスカートにエプロンを着た雪の妖精の様な容姿をした女性が出迎えてくれた。
さらさらの白髪、暖かみのある愛らしい顔立ちで色白な肌をしている。背丈も小柄で頭を撫で撫でしやすい。
これが俺の奥さん、レーシアだ。元々街の食堂で働いていたレーシアに俺がお付き合いして下さいみたいな事を言ってレーシアは二つ返事で了承してくれた。それから三ヶ月付き合いをして見事──結婚まで行った。
「お帰りなさい、あなた………………ふふ、ごめんなさい。お帰りレーク」
一瞬全く呼ばれたこともない『あなた』と言われ少しだけびっくりしたがあどけない笑みを見たら凄く抱き締めたくなった。
──まぁ、抱き締めるがな。
ぎゅぅぅ、ぎゅぅぅ。
癒される。レーシアの感触や匂いがすると仕事の疲れが一瞬にして吹っ飛ぶ気がする。
「ふふ、ご飯出来てますから一緒に食べましょ」
「………(コクッ)」
俺は頷いて返事をして、レーシアは家の中に入って行き、俺もそれに続く。
家の中に入って行くと美味しそうな良い香りがしてお腹の虫が鳴いてしまった。それにレーシアはクスクス笑い、
「さぁ、食べましょう」
食卓の机に並ぶのは、濃厚でクリーミーな味わいがするシチューに焼きたての良い匂いがするパン。後は添え物のサラダ。これが我が家の定番の晩飯だ。俺がシチューが好きと言ったら最初は週六で今では週四でレーシアは作ってくれる様になった。俺もそれに飽きる事はなく、反対に毎日作って欲しいぐらいに思っている。
「いただきます」
「……いただきます」
これも我が家では恒例行事で、食べる前には必ず手を合わせて食材に感謝をしてから食べないとレーシアに怒られるのだ。最初は軍人時代の習慣でそのまま食べようとしたらぺしぺし叩かれ怒られたもんだ。レーシアは怒る事がそうそう無いからまた見てみたいなぁ。
「………旨い」
「そうですか。えへへ」
褒められ照れ臭そうにしてるレーシアを見てると和むな。
牛乳の濃厚な味で程好い甘さがあるレーシア特製シチュー。それがまた焼きたてのパンと合って美味しい。
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