閑話(という名のメシテロ)

※このお話は主に料理の話と主人公の前世のお話で、読まなくても本編には影響ありません。 興味のない方は飛ばしてくださいませ。



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今日は約束通りアイオスに野菜料理を食べてもらう日。 ふふふ‥‥ 


メニューは花ズッキーニのフリット、サーモンとシュリンプのコンソメジュレカクテル、トマトの冷製パスタよ。


花ズッキーニの花の中の雄しべとめしべを取って、中にアンチョビとモッツァレラチーズを入れて、てんぷら粉をまぶして揚げ、トマトソースを敷いたお皿に乗せて、上にバジルの素揚げを乗せて1品完成。


サーモンとパプリカ、トマト、キュウリを5mm角に切った物とボイルした海老を、あらかじめ作って置いたコンソメで作ったゼリーを冷蔵庫で冷やし固めた上に乗せ、スプーンで崩しながら混ぜ、カクテルグラスに盛って仕上げにイタリアンバジル(に似た葉。味も見た目も成分もほぼ同じよ)を乗せてもう1品完成。


トマトの冷製パスタ‥‥ここまできて思ったけど、トマトずくしだった。  トマトいいじゃない、トマトおいしいじゃなーい。 冷製パスタはちょこっとケチャップを隠し味でいれるのよ~。 


グルメレポートじゃないから細かい手順はカカッとすっ飛ばすわよー。 あと‥‥そうね、可愛そうだから何かデザート‥‥ ドルチェも作ろうかしら。  パンナコッタがいいわね。カシスとチョコのソースなんかおいしそう!


さて、準備はできた。 あとはアイオスを待つだけね。 





「おーっす。 あんま気が乗らないけどきてやったぜー。」


「ちょっと!気が乗らないとかほんとひとこと余計なんだから!  ‥‥ふん、まあいいわ。 とりあえずどーぞ。」


ジョージが完璧なタイミングでサーブしていけば、アイオスの顔がみるみる輝いていくわ。 ふふん、どーよ!


「うんまっ」


「ふふ、それはドーモ。 気に入ってもらえてよかったわ。」


「ほんとエドはメシとかスイーツ作るの上手いよな。 なんで公爵家の嫡男とかやってんの? 店もてんじゃね?」


「ほっといてよ。 これはあくまで趣味よシュミ。  食べてほしい人に食べてもらえるのがいいんじゃない。」



ワタシは死ぬ間際はゲイバーで働いていたけど、その前は実はイタリアで修行してたのよ。


セクシャリティの問題で日本が息苦しくなったワタシは大学を卒業するとすぐに日本を飛び出した。  青山で入ったイタリアンレストランの味に感動して、クオーコ料理人ドルチアーリオ菓子職人になる為に単身イタリアへ飛んだの。


‥‥だけど知らなかったのよ‥‥ イタリアが日本以上にゲイに対して風当たりが強い事を。


まあね、ちょっと考えれば分かるんだけどさ、ゲイは自然に反した罪深いモノとするキリスト教最大勢力のカトリック教会の総本山であるヴァチカンをかかえるお国柄ですもの、そりゃー風当たりも強くなるわよね。


3年我慢して修行した後はさっくりと日本に帰ってきちゃったわ。 それで、もうどうせなら自分を偽らずに生きて行けるようにゲイバーで働くことにしたの。 それでまあ、どうせやるならテッペン取ろうかなって。 がんばってNO1になった後、ある出来事があって、むしゃくしゃしてあおるように酒を飲んで、フロでおぼれて死んだってワケ。 あ、なんか思い出し怒りが‥‥。 



「んんっ、それでアイオスはどれが一番おいしかったの?」


「え、そうだな‥‥ やっぱこれかな!」



そう言ってアイオスが指さしたのはパンナコッタの乗っていた皿だった‥‥ まあね、アイオスだしね! 知ってた!


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