OTTO
リスタリア王国の王都から少し離れた、閑静な場所に立つ王立学園は全寮制。 15歳から18歳までの3年間、爵位持ちの貴族の子息子女を集めて次代の王国を担うにふさわしい者たちを教育する為の機関よ。(と言うのは建前で、実際は将来のコネクション作りの場ね)
ワタシやリズにアイオス、王太子であるジェラルド、今年15になる子はココに通う事になるわ。 あと会った事ないけど(噂で存在は確認した)ヒロインちゃんも。
それと同時に乙女ゲーム『星降る夜に君が願うのは』のメインストーリーが始まる(ハズ)。
入学式を3日後に控え、学生寮へ入寮する子が今日はピークみたいね。 ワタシも今日から寮に入るのよー。
寮は4階建てで内部で男子寮と女子寮とに別れていて、
最上階が王族とそれに準じた公爵家の個室があって、個室とは言っても前世の高級マンション1室並の豪華さよ。 個室の規模は3SLDKになっていて、主寝室・執務室兼書斎・リビングダイニング・キッチン・浴室・使用人部屋・ウォークインクローゼットとなっているわ。 使用人は2名までは連れてきていい事になってるの。 ワタシは家事全般得意だからジョージだけ連れて来たわ。 17になったジョージは男らしさが増して目つきが若干鋭くなって、顎も割れて来た。
そうそう、ジョージと言えば… 未だに彼の声は聞いた事がないのよねぇ。
侯爵家・伯爵家は3階で最上階よりは部屋が狭くなるけど個室で、2階は子爵家と男爵家でこちらは2名1室の相部屋になってトイレはあるけどお風呂は無し(シャワーは付いてるわ)使用人同伴も無し、部屋のメンテナンスやクリーニングは寮付きのハウスキーピングがやってくれるのよ。
1階は食堂と談話室、大浴場、応接室があるの。 すごいわよねぇ。
「先に送らせた荷物はもう届いてるんでしょ?」
王都のタウンハウスから馬車で移動中にジョージにそう問いかけると頷きで返してきた。
‥‥まあ意思疎通できるし、もう慣れたけど、そのうちスケッチブックでも持たせてみようかしらね!!
学園寮の門をくぐって馬車を降りると玄関までの道を散歩がてら歩く。 寮とは言っても昔の王の側妃の別邸を改装して作っただけあって、まるで宮殿のようよ。 広い道を分断するように縦に長い噴水があって、それが玄関まで続いていて、玄関前がまるでロータリーのように丸い大きな噴水になっている。 …なんだか前世のクリスマスにシャンパングラスツリーをやる某国立公園を彷彿とさせるわね。 とってもいい景色なんだけど… うーん… 水位が浅いからまだいいけど、前世死因のトラウマであんまりこの道使いたくないわぁ…。
もうすぐ玄関につくという時、ふと中を見るとジェラルドがいた。 あいつも今日から入寮かー同じフロア―だし夜中とかでも関係なく呼び出されそう~。 あーやだやだっ て… こんな事考えるとフラグが立つからやめとこ…。
見つかるとめんどくさそうだからと、逃げようとした途端、玄関ホールの中から女の子の叫び声とすごい音が聞こえた。
―――――――― ドガッ!!
「きゃあっ!! ごっ、ごめんなさい!!!」
‥‥どうやら女の子が誰かとぶつかったらしい。 状況からしてジェラルドか、同行している護衛だけど…
なんだかとってもデジャヴ。
ジェラルドに見つからないように、そっと中を伺うと見慣れないピンクの頭が見えたわ。 ‥‥ん?ピンク頭?
「・・・・・」
「あの、私… 迷ってしまって… それであの… 前みてなくて… 本当にごめんなさい…!」
「おまえは… 」
どうやらぶつかったのはジェラルドみたいね… 相手の女の子はうるうると泣きそうな目で必死に謝ってるわ。
「いや、私も気が付かなかった‥‥‥ そなた、怪我はないか?」
「あ、だい‥‥ じょうぶです‥‥」
ね、ねえさん事件です! ジェラルドが… あの俺様何様ジェラルド様が‥‥ ぶつかってきた相手を心配してるわ‥‥。 あ、でも待って‥‥ あのゆるく巻いた背中の中程までのピンクブロンドと虹色の瞳、少し下がった眉に陶器のような白い肌、庇護欲をそそられるような美少女‥‥ 思い出した‥‥ これヒロインちゃんだわ… なんてこと‥‥ これジェラルドのイベントじゃな~~~い。 3Dでイベントスチルを見ちゃったわ‥‥!
しかもなに、あのジェラルドの顔ったら‥‥ 息をのんでまるで目が離せないって感じで‥‥
あ~~~これジェラルドルート、はじまったわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます