カミサマの殺し方
メモ帳
カミサマの殺し方
始まりは夜に
とある少女の話1
首吊り死体が揺れている。
綺麗な月夜の公園で、ブランコと一緒に並んでいる。それを見つめる幼い少女の姿が一つ。寝間着姿の彼女は、何が起きたのか意味が分かっていないという様子で、ただ無様に吊された男の死体を眺めている。
冷たい風が少女の頬を撫でた。ブランコも小さく揺れた。金属が擦れ合う音が微かに聞こえる。少女は身を震わせた。
一歩ずつ首吊り死体に近づいていく。汚物の匂いが鼻につくも、少女は一切気にしていない。揺れる男の顔は醜く歪み、光を失った目は酷く濁っている。
「……お父さん?」
少女は、ぼそりと呟いた。あまりに小さなその声を聞き止めた人は誰一人としていない。父と呼んだその男の体に触れる。夜の風に当てられ、すっかり冷え切って固くなっている。
「いや!」
少女は叫び、泣きじゃくる。言葉と世界をあまり知らない少女の悲痛な叫びが、夜空に響いた。そんな少女の母親が、いつの間にかいなくなっていた娘を探しに来るまで、さほど時間はかからなかった。……。
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