15 あなたと私の間にある重力? (あるいは引力)
あなたと私の間にある重力? (あるいは引力)
林檎はその髪型をいつものツインテールに戻した。(林檎は赤色のリボンを使って、その綺麗な黒髪をツインテールの髪型にしていた)
そのせいで、二人の距離がまたちょっとだけ開いてしまった。
それから二人はコーヒーを飲みながらいろんな話をした。
輪廻は自分が通っているお嬢様学校(幼稚園から大学までエスカレーターで上っていける、とても有名な私立の女学校だった)の話と、自分の家族の話を少しした。
輪廻の両親は大きな会社の重役をしている人で、輪廻はずっと一人で、このマンションの一室で生活をしていると、林檎に話をした。
すると林檎は「いいな。羨ましい」と輪廻に言った。
輪廻は林檎に「全然羨ましくないよ。だって私、自分の人生が幸せだって、楽しいって、思ったこと、あんまりないし」と言いたかったのだけど、やっぱりやめた。
自分が裕福であること、他人から見て幸福な立場にいる人間であることは、間違いのない事実だったからだ。
林檎も自分の家族のことを、輪廻に話してくれた。
林檎の両親は共働きをしていて、(工場で働いているようだ)林檎の下に『蜜柑』と『檸檬』という名前の、少し年の離れた今年で十歳になる双子の男の子の弟がいる、という話を輪廻にしてくれた。
「なにそれ? それって本当の話?」と少し笑いながら輪廻は言った。
「もちろん。本当だよ」と、にっこりと幸せそうな顔で笑って林檎は言った。
林檎と蜜柑と檸檬の兄弟。(この場合、兄弟でいいのかな?)
なんだか、漫画みたいだと思った。そんな兄弟が実際にいるのだ。この世界には。そんな事実がおかしくて仕方がなかった。
輪廻が「ごめん。ちょっと待って」と笑いをこらえきれなくなって、ソファーの上で笑ながら転がっていると、「私の兄弟を笑うな!」と林檎が怒って、輪廻を攻撃してきた。
「ごめん、ごめん」と輪廻は言ったのだけど、笑いはすぐには収まらなかった。
「もう! 本当に怒るよ!」と怒った顔をして林檎は言った。
それから林檎は、そのまま輪廻のソファーの横に座る場所を移動させた。
輪廻は一人っ子で兄弟は誰もいなかった。
だから素直に輪廻は、兄弟が二人もいる(それも双子の可愛い男の子だ)林檎のことが、素直に羨ましいと思った。
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