第37話 運命の黄色い糸 二十二

  嫉妬、というのは、こういうことを言うのだろうか?

 俺は家に帰った後も、由利加とその男の楽しそうな様子が、目に焼きついて離れない。

 もちろん、その目撃だけでは由利加が二股をかけている証拠にはならない。由利加にとってあの男は、ただの友達の可能性だってある。(むしろその可能性の方が高い…と俺は思いたい。)でも…、

 俺は、由利加の側にずっといたい。そして、由利加を他の男にとられたくない。俺はできれば、由利加の笑顔を、一人占めにしたいんだ…。

 俺は、その「事件」をきっかけにした自分自身のそんな感情を、始めは自分で見苦しいと思った。しかし、その感情は俺の胸に確かに存在するものだ。

 『もちろん、嫉妬は見てて気持ちのいいものとは言えない。でも、俺はそれだけ、由利加のことが好きだ、ってことでもある…。』

俺は、そんな相反する2つの気持ちの間で、揺れていた。

 『でも、このまま悩んでいても、仕方がない。とりあえず、勇気を出して由利加に訊いてみよう…。』

俺は、次のデートで、由利加にその一件、また俺の思いを伝えることに、決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る