エンドロール
長年の葛藤、修行、戦いを経てマヤの魂を解放したキリナ達。
目的を終えたキリナ達はまずレイン博士に会いに行く。
「私の差し向けたリクとノゾミをも退けてまで廃墟に入るとはなんて命知らずな奴らだ!」
会うや否やお叱りの言葉をいただくキリナ達。
しかしそれだけキリナ達を心配していたと言うことだ。
わかってはいるがキリナ達はレインを改めて怖いと思った。、
「まあ無事に帰って来れたからその辺で許すとしよう、ところでシェリーよ、注文していた品が届いたぞ!」
レインはシェリーに言う。
これでシェリーは生前の人間の姿に戻れる。
シェリーは人間になって家族と過ごすと言う目的を持ち、こうした品を注文してもらっていたのだ。
「良かったじゃん!会いに行ったら家族も喜ぶよ!」
キリナは明るい口調でシェリーに言う。
「ええ、ですガ…」
シェリーは申し訳無さそうに答えた。
『嬉しくないんですか?』
と狸助。
『嬉しい…デモ、私はこの機械(からだ)で刻み続けたイ、キリナさん達と過ごしてきた時ヲ!』
「シェリー…」
「レインさン、我儘言って申し訳ありませン、私はこの体でもっと世界を知りたいのでス!」
「仕方ないな、君の品は他の客が来た時に施そう、キリナ君、これからもシェリーを頼むぞ!」
「勿論です!シェリーさん、行きましょ!」
『はイっ!』
そしてキリナ達はレインと別れを告げた。
それを聞いていたビーフは言った。
「勿体無いのう、こんな美少女の体をシブるなんて、わしなんか今すぐにでもこの体になりたいわい」
「全くこの変態には頭悩まされるわ…」
そんなビーフにアリスは皮肉を言い放つ。
今日も研究所は賑やかだ。
シェリーは出来れば人間の姿となって家族の元に帰りたいと思っていた。
しかしシェリーは家族の元へ帰って上手くやっていけるのか不安さえ持っていた。
どのみち家族は別れなければいけない。
その別れが早いか遅いか…。
ならシェリーはこの姿のままで一緒に戦ってきた仲間、キリナや狸助と共に魔物退治をして世の中に貢献して行く方が良いのではないか?
と考え、それに結果的に行き着いたのだ。
そしてキリナ達は列車に乗り、自分にとってもっとも人生に影響をもたらした場所に戻る。
そう、カツガ神社だ。
ーーーカツガ神社ーーー
神社の前にはアオイが竹ぼうきで掃き掃除をしていた。
「お師匠様、ただいま帰り…あれ?お師匠様、体の具合は大丈夫ですか?」
キリナは体調を崩しているように見えたアオイに尋ねる。
「おかえり、ええ、穢れを取り続けたらご覧の通り、元気になりましたよ♪」
アオイは答える。
アオイの体調が優れなかったのは霊障によるもので、アオイは悪霊を相手に激務していた。
その為退治している本人にもその影響を徐々に受けてしまう事が多い。
「キリナもよく無事に帰って来れたわね、私達のお祈りのおかげかしら♪」
そしてアオイのすぐそばからゲンジャが現れる。
『よぉ、しばらくだったな!しばらく見ない間に逞しくなりおって!』
「ゲンジャ!それレディに言う言葉!?」
『本当の事言って何が悪い!』
『あの、キリナちゃん誰ト話してるンでしょうカ?』
横目で見ていたシェリーは狸助に聞く。
『ああ、シェリーさんには見えなかったんですね、彼はゲンジャ、アオイさんの守護霊、僕らはサポーターと呼んでるんですけど…』
狸助はキリナが話している相手について語る。
「ところでキリナ、言いたい事があります、ここで話すのもなんですから中に入って話しましょうか」
そう言うとアオイは木造の家の中へと消えていく。
「嫌な予感…」
キリナはアオイの何処となく黒いオーラを感じ取り、身震いした。
『キリナさんどうかしましたカ?』
シェリーがキリナに聞く。
『キリナさんはお師匠様大の苦手ですからね~』
「む、武者震いよ!行くわよ!」
からかうように狸助が言うとキリナはとんちんかんな反発の言葉を放ち、アオイについて行った。
ーーー和室
机を囲むアオイ達。
少しシリアスな表情のアオイに対しやや縮こまるキリナ。
その横から半ば蔑みのような目でキリナを見る狸助。
どんな話をしてるのだろうか?
ーーー
一方シェリーはキリナの部屋で「もち肌女と黒髪男」を読んでいる。
元女子レスラーのもち肌女が誤って師匠を殺しアサシンになってしまい、孤独に悩めるもち肌女をプロレス好きの黒髪男が彼女の心を救う。
その後色々な騒動や戦いを経て感動のストーリーを迎えるといったものだ。
これがまた面白い。
また、師匠の扱いが酷いということでキリナ的にお気に入りの一作として大人買いをしてしまったと言う事実もあるとかないとか…。
『うウ…かなり泣けましタ…ところでキリナさん達はどのような話してるんでしょうかネ?』
シェリーは次の漫画本、「ポジティブガール」を読みながら暇つぶしをしていた。
これは明る過ぎる少女をネクラ男が少しずつ少女をネガティヴにしていくお話だ(あかんやん!)
ーーーー
机を囲んで談話をするアオイとキリナ。
「キリナ、あなた方の戦いはゲンジャの透視を経て見てきました」
アオイは少し睨んだ目でキリナを見据えた。
キリナは主人に叱られる飼い犬のように縮こまっている。
「貴女には一からまた修行が必要のようですね」
「ええ~!」
アオイの一言にキリナはつい嘆きの声を上げてしまう。
狸助はざまあみろと言った目でキリナを見ていた。
「それと狸助、貴方もです」
『へ?何で僕が??』
狸助にはキリナならともかく何で自分もなんだみたいに、素っ頓狂に口に出す。
「貴方にはサポーター(守護者)としての自覚がありません、マスター(主)を我が身のように慈しみ、助けるのがサポーターの筈、マスターの失敗を笑い、喜ぶのはサポーターとして恥ずべき行為です」
『うぅ…』
指摘され反論出来ない狸助だった。
そこでアオイは何かを感じ取ったのか、顔の表情を変えた。
(お師匠様が霊(誰か)と交信してる?)
とキリナは思ったのだが、アオイは顔色を戻し、キリナに目を向けた。
「ただいま霊(あるひと)から交信が入りました、キリナ、貴女に最終試練を与えます」
「さ…最終試練?」
状況に一時戸惑い、固唾を飲み込むキリナ。
「その霊(ひと)が言うには恋人(おとこ)を見つけなさい…との事です」
「お…お姉ちゃん…?」
気が抜けたように間抜けな表情になるキリナ。キリナの放った言葉にアオイはやや柔らかい表情になる。
「勘だけは育ちましたね、長女、次女が同時に貴女を見守ってるそうですよ♪」
「あわわ…」
マヤお姉ちゃんとアザミお姉ちゃんが同時に!?
プレッシャーに襲われ狼狽するキリナ。
ーーーー神社の外ーーー
「良い男…かあ…」
思わずため息を漏らすキリナ。
「大丈夫ですよ、キリナさんならきっとすぐに良い男見つかりますって」
狸助は棒読みでフォローする。
『ふふ♪何なら私がティーチ(教える)しましょうカ?』
そこで目を光らせるシェリー。
「わわ…勘弁してよ…!(恥)」
またシェリーに大人の勉強を教えられそうで期待でドキドキしながら言葉では反論するキリナ。
(変な方向に目覚めちゃいそうで男どころじゃなくなるかも…(恥))
想像すると顔が赤くなりシェリーと視線を合わせられなくなる。
(大人の教育…僕にも伝授していただけないのだろうか(喜))
なお狸助もギンギンになりその時の展開を期待している。
そこでキリナは何処かから邪気を感じ取る。
「またお仕事のようね」
近頃多いなと言った表情で溜息を漏らす。
『キリナさんはお姉さんを助ける事でいっぱいいっぱいでしたからね、多さに気付けなかっただけで』
『早く終わらせてティーチの続きネ♪』
キリナの悪霊退治、そして大人の勉強はこれからも続く。
♪~
懐かしいね 泣き虫だった そんな私を
あなたはいつも 抱きしめて なぐさめてくれたね
あの温もり あの言葉 あの思い出 私はいつまでも憶えてるよ
The turn with which I help you in the next
必ずね
I become strong and go to meet.
その時が来るまで
♪~狂気に咲くは悦の華(煉獄庭園)
歌詞は恥ずかしながらノファンです(恥)
ーー完ーー
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