素手と狙撃と異世界転生!!  ~最強の格闘スナイパーの道をまっしぐら~

アマノハシ

始まり〙

プロローグ?

日本東京都内某所




 俺、泉竜斗はタイヤの事を一切考えてない力任せなスピードで自転車をこいでいた。



「やばい、あと十分しかねぇ!」



 全身から汗が噴きだし、下着をこえて制服に滲みこむ。


 朝から今年最高の暑さを記録しているこの日に限って、俺は目覚まし時計をかけ忘れた。


 つまり、運動する気すら微塵も起きないようなこのクソ暑苦しい空気の中、俺は全力でペダルを踏むと言う重労働を余儀なくされたのだ。




 しかし案の定、現在時刻と登校にかかる時間を考えるとホームルーム遅刻は確定。




 奇跡でも起きない限り、間に合うことは無い。


 だが、その奇跡に心を預けでもしない限り俺の心は踏まれた葦の様にぽっきりと折れてしまう。

 週末、栄光の一時(日曜日)が過ぎ去ってしまった時点で既に心も何もないが………。


 どちらにしろ、一分、否

 一秒のタイムロスも、許されないのである。


 にも関わらず、神は我を見捨てたもうた。


 登校経路約中心の折り返し地点の踏切が見えた時、同時に俺の視界には待ち構えていたように降り始める踏切と、左から迫る長蛇の列車が映り込んできた。



「くそ、よりによって今かよ」


 幾ら急いでるからとは言え、踏切を突っ切るような真似はできない。


 ホームルームどころか一時限目遅刻確定の悲惨な現実に嘆きながらも、異常な速度を出している自転車を止めるべく、二十メートル手前で両方のブレーキバーを握る。



  バキンッ



 「え?」




 自分の耳を疑う…………暇もなく、握りしめた瞬間には確かに感じられた抵抗、ブレーキの証が、完全に無くなった。いや、お亡くなりになられた。




「おいおいおいおいおい、嘘だろ…………」 


 ブレーキが、効かない。


 その瞬間、俺は死を確信した。


 約一kmと言う距離を一度も止まることなく全速力でこぎ続けた自転車は、空気抵抗と物質的な摩擦程度はものともせず、最高速で踏み切りへと突入。



 直後、自転車もろとも列車に弾き飛ばされた俺は自分の体がところどころあらぬ方向に折れ曲がったのを見た。


 





   意識はそこで途絶えた




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