声なんて大嫌い
毛んち
第1話 声なんて大嫌い
声 耳
どうして、こんなものがあるのか。
こんなものがあるからいけないんだ。
「約束したじゃん!!!嘘つき!!!。」
「これ前言ったよね?どうして覚えてないの?」
「俺はそんなこと言ってない。」
「いや、確かにお前あのとき言った。」
この世の中は
「記憶」
では物事が進まない。
「記録」
によって物事が進む。
でも、声と耳を使った
やりとりは
「記録」には残らない。
私は、そんな世界が大嫌い。
~~~Ep1~~~~
wayble
~~~~~~~~~~
朝美「やっほ エリ!」
エリ「ん、おはよ」
朝美「なんだよぉー!今日も暗い顔してんなー!笑
なんだー?生理かー?んー?
次は体育の授業なんだから無理すんなよぉー!
今日はソフトボールだってさー!」
エリ「ちょ!ちょっとやめてよ!違うし!・・・・・・・・・もうッ。。。」
私は松山エリ
高校生1年。
ちなみに生理ではない。
学校では、目立たぬよう無難に過ごしている。つもりだ。
教師A「おう、松山!今日も一段と暗いなぁーッ!!笑」
エリ「・・・暗くないです。
明るいとか暗いとか、そう言う差別的な発言はやめてください、先生。
私、次体育の授業なので。」
教師A「何も差別しているわけじゃないぞぉ!
でもお前の笑った顔、先生は好きだからなッ!!
体育がんばれよぉ!」
エリ「(キモ、また適当なことを言っている・・・)・・・はい。」
前方から男子生徒が勢い良く走ってきた。
男子生徒「うぇーーーいwwwwマジ遅れるし授業っふぉーーーwwwwww」
教師A「こらぁ゛ぁッッ!!!廊下は走るなぁッッ!!!!!」
男子生徒「ッッ!!!!!やっべッッ!!!逃げろッッ!!!!」
教師A「・・・ッッたく」
教師は、とても大きな声をあげた。
突然の大きな声に周りの生徒達もビックリし
生徒達のガヤガヤとした平和な日常会話も静まり帰った。
まさにシーーーーーーーン・・・って感じ。
エリ「先生」
教師A「ん?」
エリ「私、いつも電車で通学するとき、駅のホームを走る人達を見ます。
走ってはいけないと言う法律はありません。
先生は周りから「ナメられたくない」と言う理由から
適当な理由をつけて生徒を怒鳴っているようにしか見えません。」
先生「・・・?
そんなことないぞ。
生徒が走って妊娠している女子教師に激突して流産させた事例もあるんだぞ?」
エリ「だったら"道を走ってはならない"法律を作るべきだし
妊婦なんて学校内よりも、学校の外のほうが多いです。その例えは納得できません。」
先生「お前なぁ・・・」
キーンコーンカーンコーン!
授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
エリ「私、次 体育なので、これで失礼します。」
先生「・・・」
私は無駄が嫌い。
この世の中は無駄だらけだ。
学生である私でも分かる。
スマホでネット掲示板、動画サイトなどに眼を通すほうが
よっぽど世の中を知れる。学校なんて意味がない。
・・・・・・・・・・・・・・・・そしてこの体育の授業も。
体育教師「さー!今日は天気が良いぞー!!
お前ら気合いれていくぞー!!」
エリ「(天気が良いからって、何故、気合を入れる必要があるのか。
意味が分からない・・・つか暑い・・・)」
体育教師「今日の試合は、A組と、B組!!!
ソフトボールだー!!」
生徒全員「えーーー!!!」
ブーイングの荒らしだが
体育教師と言う人格が
そんなものに動じるはずもなく
ソフトボール試合は開始された。
私はA組。
朝美はB組。
試合は3-0
A組が勝っている。
私とっては、どうでも良い・・・
だが、B組は満塁逆転のチャンス、熱い展開だ!
バッターはあさみ。
私はセンター。
生徒A「朝美ーーー!!ホームランだよー!!!!」
朝美「おるぁー!!来い来いぃー!!!
逆転ホームランじゃいー!!!」
エリ「なんであいつは、いつもあんなに元気なのか・・・。
あの元気を、少し分けてもらいたいものだよ・・・。」
-----------カキーン!!!!!!!!!-----------
朝美の打ったボールは、空高くセンターフライ!!!
そして私の頭上に!!!!
エリ「(よし、取れる!!!!!!!!!取れるぞ!!!!!!!)」
ごつッッ
!!!!!!!ッッ!!!!!!!
ッッ・・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・
・・
・
・
・
目の前が真っ暗になった。
・・・・・・・・・・・・・・・
エリ「・・・・・んん゛」
朝美「!!!!!、
!!!!、
!!!!!!、
!!!!!!!!!!!!!!!」
朝美は私を起こそうと
必死に身体を揺さ振っていた。
眼を覚ますと、そこは保健室だった。
エリ「あ・・・あれ・・・え・・・そっか・・・。
うん・・・あさみ、ありがとう。」
朝美「!!!、
!!!!!!!!!!!、
!!、
!!!、
!!!!、」
エリ「え?何?」
私には、あさみの声は聞こえなかった。
もしかしたら、耳が聞こえなくなった・・・!?
・・・?
でも自分の声は確かに聞こえる。
エリ「え?ど、どうしてあさみ喋らないの?」
そうすると、あさみは奇妙な機械を取り出した。
朝美がその奇妙な機械を軽くイジると
その機械から立体映像として
文字が映し出されているのである。
朝美の機械の立体映像「ナニ シャベッテルノ 頭 打ッテ オカシク ナッタ?」
エリ「・・・?・・・?え?」
朝美の機械の立体映像「ダイジョウブ?」
エリ「え、まって、まずそれ・・・何?この立体映像は?この文字は?この機械は?」
保健室の先生の機械の立体映像「チョット 頭ヲ打ッテ 記憶ガ 混合シテル ヨウネ。」
エリ「・・・?・・・?」
私は保険の先生から、ゆっくり話を聞いた。
この文字を立体映像化する機械は
「Wayble(ウェイブル)」
と言う機械らしい。
国の法律により
15歳からは
その機械でコミュニケーションを取ることを義務ずけられていると言う。
保険の先生のwayble「アナタ ノ waybleモ ホラ。 ココニ アルデショ・・・?」
エリのwayble「あ、、、あ、、、え、、、」
保険の先生のwayble「ほら、こんなふうに。」
エリのwayble「あ、本当だ。何これ。凄い。え?何コレ。」
保険の先生のweyble「ちょっと打ち所が悪かったようね。
まぁ他の事はすべて覚えているみたいだし
問題なさそうね。安心したわ。
もう授業終わってるし、そろそろ暗くなるから
もう今日は帰りなさい。」
先生は安心したように笑っていた。
でも私は全く安心などしていない。
突然のことだった。
この世界では
声と耳を使ってコミュニケーションをとらない。
waybleと使って文字でコミュニケーションをとる世界のようだ。
とにかく、私は怖かった。
不安で押しつぶされそうだった。
お母さん・・・ッッ!!
お父さん・・・ッッッ!!!!
早く会いたい!!会いたいよ!!!怖い!!!怖いよ!!!!
私は全速力で家まで走って!!!!!!
人生でこんなに走った事はない。
嘔吐しそうなほど、呼吸が困難になりながら走り
家についた。
エリ「はぁ・・・ッ!!はぁはぁッッ・・・!!!
ぉ゛父さん゛ッ!!!!ぉ゛母さんッッ!!!!!!!!」
お母さんのwayble「あら、どうしたの、今日は遅かったわね」
お父さんのwayble「おいおい、お前大丈夫か。髪の毛グチャグチャwwww
ほら水。」
ここでもwaybleで会話をしていた。
エリ「・・・お父さん、お母さん・・・こ、これ・・・・・・ちゃんと喋ってよ!!!」
お母さんのwayble「突然どうしたのよ。
まずは落ち着いて、waybleで説明してごらんなさい。
こんなときこそwaybleよ?」
お父さんのwayble「そうだぞ。
もうお前も大人なんだから。エリ、落ち着きなさい。
大丈夫だから。
ほら、水」
私はお父さんが差し出してくれた水を、手で撥ね退けた
エリ「やめてよ!!!
私はお父さんと、お母さんの声が聞きたいの!!!
聞きたいよぉッ!!!
なんでッ・・・
ふぇあ・・・・ええ゛っぇ・・・ぁあ゛ぁあーーーーーんッッ・・・・・・・ぁ゛ぁぁあーーーーーんッ・・・・・」
私は、突然変わってしまったこの世界と
言葉に出来ない寂しさに、嗚咽しながら泣いてしまった。
それを見た両親は
「これはただ事ではない」と
二人で顔を見合わせて
声を出した。
お父さん「エリ、一体何があったんだ。話してごらん。」
お母さん「エリ、大丈夫よ。何があっても、お父さんとお母さんは、エリの見方だからね。大丈夫。」
お母さんは、そっと抱きしめてくれた。
私は二人にゆっくり今日あった出来事を説明した。
声なんて大嫌い 毛んち @pawamiso2424
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