長く付き合えるものを探す

 実は、僕は「小説」を書くことには何度も挫折している。

 アイデア自体はたくさん出てくるのだが、それを長く、そしてずっと書き続けるのが無理で、いつも放り出していた。

 しかし、やっぱり書きたいと思うもので、また帰ってきては、こうやってカクヨムで「小説」を書いている。


 「小説」を書く、ということは、「長く付き合えるものを探す」という作業に他ならないんじゃないか、と思うことがある。

 例えば、女の子同士がイチャイチャしている姿をずっと想像することができる、と思うならば「百合小説」ということになるだろうし、ケモノがたくさん出てくると尊い、ということなら「ケモナー小説」ということになる。

 僕は小説を投稿する、というのを一度しかしたことが無いけれど、Webに連載するわけではない、投稿小説においてすら、恐らく一ヶ月くらいは、その小説に向き合うという作業になるのだと感じている。要は、ゴールの見えないフルマラソンを走るようなものだ。

 そうなってくると「どうやったら毎日付き合えるか」みたいな勝負になってくる。


 当たり前だが、大好物のカレーでも、毎日食べていたら飽きるわけで、そこに創意工夫が必要となってくる。このカレーはこういう味だから、今回はこういう味にしてみよう、とか、あるいは次はこういう味にしてみようとか。

 そうしてくるうちに、自分が「こういう味が好きなんだな」とか、あるいは「こういう味ならまだいけそうだ」ということになる。

 そういう「味付け」を探すことみたいなのが重要なんだな、と思ったりする。そういう模索をすることによって、自分だけのオリジナルの味付けなんかがわかったりする。


 有名なピアニストの言葉に「一日練習を怠ると自分には分かる。二日怠ると批評家に分かる。三日怠ると聴衆に分かってしまう。」というのがある。自分とかはプロではないので、ここまで根詰めて考えなくてもいんだけど、ただやっぱり「小説脳」みたいな部分があって、それを動かしていないと、いざというとき、それが動かない。

 そして、毎日動かしていると、基礎筋力みたいなのがついて、段々と上手くなっていくような気がしている。


 それと「長く続けられる題材」にすると、「受けない」ということが気にならなくなる、というメリットもある。これはWeb小説に限ったことだと思うけれど。

 そもそも、自分が好きで考えて、そして続けていることなのだから、まず小説を書くことが目的になる。往々にして、「なんでこんなに読者が付かないんだろう」と悩んでしまって、いわゆるエターナルに終わらない、ということになる。

 どうしても、続けて、認知されて、初めて読者がつくという側面があって、どうしても潜伏期間は出てきてしまう。その潜伏期間をどれだけ耐え忍ぶことができるのか、ということが重要で、そうすると「長く続けられる」というのは、強みになる。


 というわけで、自分が「これだったら長く付き合える」というようなものを探して、それを軸にするといいのではないか、と最近思い始めている。

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