ファンタジーは「幻想」と言う意味で、「剣と魔法」の事じゃない。

@ZASSOU00X

プロローグ:くたばれファンタジー

 俺は毒づく。


「まったく……。なんてファンタジー、だよっ!!」


 敵が放った熱線を、ぎりぎりで躱す。相手は光の剣を振り下ろして来る。こちらはそれを、再度躱す。直撃したら、こちらは真っ二つに焼き裂かれてしまう。躱すしかない。


「じょうだんじゃ、ないっての!」

「騒いでないで、集中してーーー!!」


 俺は集中して、相手の胴中央に照準を合わせ、引き金を引く。ばかでかい「小型」マシンガンから火線が迸り、次々と金属製の空薬莢が吐き出された。弾丸は、相手の胴中央へと集中する。

 ……しかし、敵はダメージを受けた様子も無く、再び光の刃を振るった。頭飾が一部持っていかれる。今だ!俺は再度マシンガンの照準を、相手の胴体に合わせて叩き込んだ。


「やったか!?」

「フラグ立てないでよ!」

「なんでお前が、この言葉がフラグだって知ってるんだよ!」


 眼前の相棒……と言うには付き合いが浅いが、彼女がいつの間にか左手に短剣を抜いていた。その短剣は、ヂイイイィィィ!!と耳障りな音を立てている。……高周波ブレードだ。彼女はソレを、俺の銃撃で弱っているハズの敵胴体に突き刺す。


 バキイイイィィン!!


 高周波ブレードの刃が、根元から折れた。敵の胴体部は、わずかに傷付いただけに見える。しかし……動きは止まった。

 折れた高周波ブレードの、更に刃の先が砕けて、破片が「コクピット」内部にはじけ飛んで、敵の「パイロット」を殺したのだ。俺は叫ぶ。


「……試作機が激強だなんて、なんてファンタジーだよっ!!普通はこっちみたく量産機が、量産される前に改良とか色々加わって、有利なハズだろうっ!?なんとか勝てたけどよぉ!」

「元からかかってるお金の桁が違うのよ!仕方ないでしょ!それに量産って言っても、こっちは簡易型なのよ!いいとこと言えば、2人乗りだから操縦を上手く分担できれば余裕が多くなること、後はそれこそ値段も安くて多数量産できるのが強みってぐらいしか無いわ!」

「だーーー!だいたいだなあ!どうせならお前、地球に来るならもっといい機体盗んでこいよ!」

「そう言うのは、管理が厳しいのよ!いいじゃないの、地球陣営でも大量生産しやすいんだし!」

「なんでそんなとこばっかり現実的なんだよ!」

「これは現実!なによファンタジーって!」

「なんだよ!」

「何よ!」


 火器管制の俺「水沢順二」30歳と、パイロットであるこの東洋系の顔立ちしてるくせに銀髪碧眼の美少女「アリエル・アディントン」年齢不詳は、陸上自A隊の回収車両が来るまでこのロートル量産機の人型ロボット兵器、『ギーグ07-B1』型の複座コクピットの中で、喧々諤々と口喧嘩を続けるのだった。

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