あたしとあなたと交通事故

 目が覚めると、いつもと見慣れぬ風景に一瞬驚いた私はあたりをキョロキョロと見まわした。清潔なシーツの匂いと、半開きの襖の向こうに見える真っ白なリビング。


 ___ああ、そうだ博人ひろとさんの部屋に泊まったんだった。

 それにしても広くて何もない部屋だこと。ほぼ色彩もなければ小物らしきものがないよね。あの人ってばミニマリスト?


 …ていうか。

 投資を教えてくださいって軽くお酒を飲みに行ったのになんでこうなった。


 眠りから覚め、隣の仕事部屋からやってきた彼にハッキリとこう告げた。


「あの、ごめんなさい、これは事故です…。」


 彼は一瞬固まったあとに


「えぇ~~……。」


 とがっくり肩を落とした。



 それが私たちの始まりだった。



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