短い物語

西田 正歩

第1話母の死


母を殺した。毒で殺した。小さなビンの中にヒ素を入れていた。

母を愛したから殺した。

そうしないと、母は他の誰かを愛する。

母との愛は僕だけのもの、邪魔すれば僕は殺す。初めて殺ったのは父親であった。寝てるときに口から毒をいれた。それは心臓発作を起こすものであった。

僕は人より、少しだけ頭が良かった。

そして、母は殺した。

愛する母は、僕を見ずに誰かを愛するんだね。なら、僕は母さんを殺す。それが一番母の近くにいるやり方だからね。

僕は料理に毒を少しずつたして殺した。

殺したせいか喉が乾いた。冷蔵庫のペットボトルの水を飲んだ所、いきなり苦しくなった。

熱くなってきた喉が、毒のせいだとふと感じた。母も僕を殺そうとしていたのだ。

ペットボトルの先端に小さな穴があった。注射器の跡なのだろう。

母の近くに行き、息絶えたあなたの唇にキスをして、僕 も死にたい

母さん………好きなんだよ………母さん………

僕は母に触れることもできず死んだ。


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