第13話 二人の守護神
「ほう…ではテラよ、そなたはかなりジークとやらに詳しいようじゃな。そなた守護神として奴の一味に加担しておったのではないかな…」
テラは思った「ヤバい!そんなつもりで言うたん違うわ!ウチはあくまでもこの兄さん達に恩を返そうと思って…」
「違います!」僕は二人の会話に割って入った。
彼女は…そう!僕の大切な守護神…婚約者です。」
テラは驚いた。「この人、ウチを庇ってくれてる。ウチはジークの守護神やった。言わば憎っくき敵やんか。何でウチなんかのために…」
テラは生まれてから今までこんなに大切にされたことは無かったと純の優しい気持ちに涙が溢れた。
「はて…そなた達は三人と聞いていたのだが、もう一人は?」「それはジークの守護神です。一緒に逃げていきました。」「そうか。あいわかった。」
女王様は周りの衛兵に人払いを命じた。
部屋には僕ら二人と女王様だけになった。
「さて…ここからは内密の話なのだが、決して口外しないでもらいたい。」僕らは頷いた。
女王様は今、グランアンジェとエルドラはかつてない戦争の危機にある。戦争と言っても一方的なエルドラの侵略と言っても過言ではない。グランアンジェは兵を送る気もないが、侵略には抵抗しないとと頭を抱えている。
そんな中、国中の魔法使いが誘拐されているらしい。エルドラの企みだろう。そこに、あの王子の行動。彼らは一体何を企んでいるのだろう…という話だった。
女王様は僕らに「そなた達は身内の魔法使いを取り戻すために動いておるとか…すまんがエルドラの企みを知りたいのじゃ。手伝っては貰えぬか?褒美は考えるぞ。」
僕は考えた。どの道、エルドラ王国に入らないとクレアさんは救えない。女王様は言い方は悪いがスポンサーみたいなものになってくれると言う。
スパイみたいなものだから危険はあるかもしれないけど…
「女王様。お願いがございます。」「なんじゃ?申してみよ。」「女王様の部下の方でエルドラ王国に詳しい方を一人僕にお借りすることは出来ないでしょうか?僕は全く相手のことを知りません。このままエルドラに行っても追い返されるのが目に浮かびます。」「なるほど。」
女王様は何か一言二言唱えられた。すると、床に魔法陣が浮かび、その中からクレアさんのようなローブを着た綺麗な女性が現れた。
「王宮の中でも一、二を争う腕の魔法使い、アリスじゃ。彼女に案内させるとよい。」
僕は道案内的な人をお願いするつもりだったのにこんなすごい人を…これは嬉しい誤算かも。
「よろしくお願いします。」とアリスさんは握手を求めてきた。僕も「こちらこそ」と握手しようとするとテラちゃんが「ウチの婚約者やで。気安う触らんといてや!」とアリスさんに注意した。
テラちゃん。ナイス演技。女王様も信じてくれるよね。
女王様は「では、頼んだぞ。良い報告を待っておるからな。今日は部屋を用意させたから王宮で休み、明日出発するがよい。」と微笑まれた。僕はご厚意に甘えることにした。
アリスさんは、「明日、朝にお部屋に伺います。
それまでゆっくりしてください。私に御用のある時は、アリスと心の中で呼んで頂くだけで参ります。では。」そう言うとアリスさんはまた魔法陣に消えていった。
僕はテラちゃんと部屋に入った。「テラちゃんはこれからどうするの?ジークとは契約解除?」と言うと、「当たり前や!さっきウチのカプセル回収したったわ。」と僕に真っ赤なカプセルを見せた。
そうだ、ミカちゃんを出してあげないと…もう元気になったかな?
僕はミカちゃんのカプセルを開けた。ミカちゃんは元気になっているようだ。
「ふわぁ。ミカちょっと寝てたみたい。あっ!純くん。ケガ大丈夫。」「あれ?治ってる。」
服は破れてはいるが傷は知らないうちに消えていた。
ミカちゃんはテラちゃんを見て、「純くん。この人誰?」と訊いた。そう言えばミカちゃん知らないよね。
テラちゃんが僕に自分の真っ赤なカプセルを手渡した。
「これからウチをよろしゅうお願いします。婚約者様。」
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