世界(予約済み)
名前さえも封印されたこの『世界』の真実
・外見
155cm体重不明
元は大きな鼻、口髭、短足で腹の出た日本生まれのイタリア系アメリカ人の男だった。
現在はその体を『皇帝』の右腕と共に針金でギチギチに縛り上げられ、一本の柱のようになっている。
これでも二十代半ば。
・性格
こうなる前は社交的で正義感が熱く、ジャンプが得意で、キノコや花や星なんかで変身できたらしい。その他にも色々できて、テニスの審判の資格やカートの免許、医師の免許まで持っていた。
だが現在、肉体的精神的魔力的呪術的に健康であるにもかかわらす、魂が抜けたように一切の行動を起こさない。
瞬き、行動、脊髄反射は行なっており、脳波も正常、なので自身の意思で行動しないでじっとしていることになる。
・経歴
星無し。
カンパニーは存在を認めていない。
しかし紛れもなくP・W・カンパニーを、リブートを作り出したきっかけである。
古い文献によれば、配管工の仕事をしながら世界を救ってきた英雄であるとある。
・舞台
『封印地区』
1番コロニー、ペーパープリーズのほぼ中心、マスターや社長どころかスポンサーでさえ入れない場所。コンクリートと結界とバリアーでガッチガチに固めてある。生物の類は一切いない。
その最深部で無限にジャンプしている。
具体的には金網の筒の中で、『皇帝』の腕の力で二秒毎に上へ局所的ワープを無限にさせれ、そこから二秒落下し、下にセットされている亀の甲羅を無限に踏み続けている。
周囲にはそのジャンプを維持し続けるようプログラムされたロボットたちに、観測機器、さらに周囲は魔術的結界にゴーレムと多重に守られ、さらにその外周をバリアーにより完全封印して、存在さえも秘匿されてきた。
ただ内部は『ブルースクリーン』と呼ばれる異世界への門があり、一方通行ながらそちらの地獄へは出られた。
今回のリブート襲撃に乗じて侵入した『愚者』により、セキュリティ全てが突破され、襲撃時現在残されているのは廃墟と残骸と死体だけ。歩ければ余裕で『世界』までたどり着ける。
リブート全滅後、緊急アラートにより全ハンターがここに召集されるも、それはカンパニーによるものではなく、『愚者』の仕業と思われる。
『ブルースクリーン』
白い砂と空気と死体と明かりだけの異世界、正確には異世界と異世界の狭間らしい。広さ不明、真っ平らな地平がどこまでも続いている。
死体は殆どが下記のメンバーで、中には喰われたのもある。
脱出方法はどこかにある『皇帝』の左腕に触れること。それでアッシュワールドのどこかに出られる。
・モブ
ロボット
ドラム缶に手足がついて懐中電灯みたいな二つのカメラアイをもつ超旧型ロボット。与えられた命令以上のことはできず、ネットにも接続できないが、耐久力がひたすら高く、封印後も変わらず動いている。
主に施設の点検と整備、それから漏れ出たメンバーを外に運び出すことを命じられている。
メンバー
こんな状況でも続いているチート能力によって生まれたコピーたち。
ただまるっきり同じではなく、年齢、人種、性別、それどころか人でないのも現れる。多くはオリジナルと同じく動かないが、稀に動けるのもいる。
それら一切がまとめて『ブルースクリーン』へ投棄されている。
その中で意識を保ち、同属を食いながら生き延び、変異しながらも脱出できたものがリブートのメンバーとなる。
・能力
こうなる前は、ジャンプ力、変身能力と紛れも無いチート能力で、正義のため、戦い続けた紛れも無い英雄だった。だが今や残されたのは下記のチート能力だけになった。
♾UP
いくつかの条件をクリアすることで命の残機を増やすことができる。その中にある亀の甲羅を連続で踏むこと、を全自動でやらされ続けている。
観測では、一定人数以上のストックは溢れ出てしまい、それがまるで弾け出るようにメンバーが出てくる。
『皇帝』の腕に囚われており、移動させても二秒後にここに戻ってきてしまう。なので動かせない。
現在、リブート全滅後、事切れた『愚者』の前に、『世界』の亡骸が無限にジャンプしている。
どちらも魂は消失しており、蘇生は不可能、即ち『世界』との戦いは始まる前に決着している。
・真実
ドサクサに紛れ『愚者』がこれでもかとあちこちにぶちまけたカンパニー、リブート、そしてこの世界の真実、皮肉にも『愚者』が関わっているというだけで信憑性が落ちている。
それでもショッキングな内容から瞬く間に異世界を超えて広がっている。
……そもそもP・W・カンパニーの前身の組織とは、異世界転生者や転移者によって滅ぼされた側の生き残りである。
彼らが最後の逃げ道に異世界に飛び、そこで集まり、同盟となっていったのが起源である。
一定の支配地域と力を手に入れてからは自分らを倒した転生者、転移者、ひいてはチートについて研究を重ねてきた。
その過程で、まるで放置されたかのような『世界』を捕縛、研究が開始される。
そこから数多の技術が作り出されたが、最終的に【世界の真実】に辿りついてしまう。
この世界はゲームの中である。
その中で一般の生物はNPCであり、転生者や転移者は遊びに来ているプレイヤー、更にその中で通常のルールを外れた能力、性能を持つ者、いわゆるチート能力は、まんまチートであり、その現実とのギャップから、本来はゲームだと気付くことができないはずのNPCでも気がつくことができた。
……真実かどうかは定かではないが、信じた大半は自殺し、残りは全員発狂した。
その発狂した中から、ならばプレイヤーを楽しませなければ世界が飽きられ消えるという答えにいたり、そうならないよう、彼らを楽しませるため、やられる為の道化役としてプレイヤーズ・ウェルネス・カンパニー、即ちP・W・カンパニーは作られたのである。
倒されるために悪事を働き、助けられるために奴隷を集め、カタルシスのために地獄を作る、これがカンパニーの始まりであり存在理由だった。
そしてそのカンパニーを作り操りつつ、プレイヤーと直接敵対しないで、あわよくば仲間側につける美味しい立ち位置としてスポンサーが生まれた。
これらの世界の真実、カンパニーの目的は徹底的に秘匿され続けてきたため引き継ぎもなく、もはや知る者はほとんどおらず、社長などカンパニー側はもちろん、スポンサー内にも数えるほどしか残っていない。結果として本来の存在目的を無くしたことから、目的を知り続けていたリブートが活動開始、今回の騒動となった。
……リブートによるアッシュワールド全域への攻撃は全て陽動、その隙に『愚者』が猟る。『世界』さえ奪還できればまたリブートは一から作り直せる。カンパニーへの『リブート』が目的であった。
……しかし、それらは失敗した。
陽動は全滅、死因は不明ながら『世界』が亡くなり、連動してか『愚者』も死んだ。
リブート騒乱はメンバー全員の無力化により、終結へと向かっていった。
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