・・・・

 どこでそんな情報をゲットしてくるのか、はたまたもしかして経験してるとか?

「ということはもしかして出雲さんも……」

「なわけないでしょ。僕が幽霊だったらこんなめんどくさいことしてないよ。さっさと成仏してる。この世界に長々といる意味はない」


『幽霊は過去のことは分からない……』

高宮はじっと二人のやり取りを聞いている。

「出雲さん、高宮さんはこれからもしかして自分の体を自分で探しに行くことになるんでしょうか」

「そう」

「じゃあ、家の中に入れないのもこの家に何か仕掛けがあるってことなんでしょうか」

「そう。ここはもう彼女のうちじゃない。もう誰も住んでいないし、ここは前に依頼されたことがあってね、僕が手を打ってあるの。だからどんな霊でも入ることはできないんだよね」

「それならなんで早く言ってあげなかったんですか」

「その電話にはなんらかの秘密も入ってる。でも、それ、もうないよ。行くべき場所に行っちゃってるし」

「どこに行ったんですか」


 出雲大社は高宮を見て人差し指を上に向けて、

「行くべき場所」

 上を見上げている高宮の周りには黒いもやが近づいていて、


「高宮君、その黒いもやに飲み込まれたら君は二度と上には行けない。ずっとこの地にとどまることになる。僕はその手伝いをすることができる。でも君お金ないよね。死んでるし。僕、ボランティアはしない主義なんだよね」

 こんな時にまでお金の話とは……ほとほと呆れる湖は出雲大社を細い目で見やる。


『私の周りにまとわりついているものは自分でも分かっている。でも、そんなものに乗っ取られる私じゃない。その女の体。私がそいつの中に入って思い残していることをする。あれを探し出してどこか遠くへ隠さないと』


 私の体を乗っ取ろうとしているのは分かった。でも速やかにやめてもらいたい。絶対嫌だ。湖は左右をうかがい、逃げ道はないかと探す。ジャッキーだってどんな困難にも負けなかった。私もできるはず。と己で己を鼓舞する。

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