四
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襖を開くと中からはDVに使ったのであろうグッズが溢れていて、どれもツンとする匂いを発していた。
実は、出雲大社は家を出る前に、
『君はビデオを回すんだ。でも気づかれてはいけないから超小型ブローチビデオを君の服につける。いいかい、これで一部始終を録るんだよ。それから、君、趣味は……』
『ジャッキーの出ているカンフーアクション映画はほぼ完璧にコピーしてます。実家の庭に練習用の機材を手作りしてけっこう修業を積んできましたから、あとは実戦で試すのみです。ちなみに酔拳は今研究中です』
『いいね。すごくいい。その修業の成果を披露する場面に出くわすから、充分に準備運動をしておいてくれたまえ。怪我でもされたら職務中の責任で労災諸々めんどくさいから。俺そういうのやだから』
という理不尽ないいつけにより、とりあえず分からないように準備運動をして筋肉を柔らかくしておいたことが最大限に発揮されたというわけだ。
一息ついて、
「で、出雲さん、次はどうするんですか」
「こいつは警察に届けよう。接近禁止命令でも出してもらえばいいだろう」
「そんなことで済むんでしょうかね」
「彼女は引っ越したほうがいいと思うし、会社にも部署変更か支社変更の希望を打診してみるのもいいかもね」
床におネエ座りで息を切らしている占い師はなんだかほんとに『けったいな奴』にしか見えないけど、この人がいたから花井は助かったんだなって考えると、なんだか人助けをした気分になる。
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