天使のひとかけら
時岡ハナオ
新しい世界
第1話 4月2日 始まり
交番の電話が鳴ったのは午後11時半近く。近所の公園で数人が騒いでいると住民からの一報だ。
2人の警官が現場の公園へ駆けつけると、気づいた人影4人が逃走。声からするとまだ未成年に思える。一人が地面に横たわったま動かない。
片方の警官は逃げた人影を追い、もう一人は倒れている人影に近寄る。街灯の下に照らされていたのは、元の色がよくわからないほど土と血で汚れたボロボロの服、裸足で履物は片方どこかへ消え、鼻と口から血を垂れ流し、目と頬を腫らした赤い髪の少年だった。
呼びかけに返事がない。すぐ救急車の手配と応援を要請すると、間もなくけたたましいサイレンが近づいてきた。消防車、救急車、パトカーと続いたので、深夜にもかかわらず周囲の家からやじうま達が顔を出す。
救急隊が少年を担架で収容し病院を探す。運良くすぐ近くの総合病院に受け入れが決まった。意識レベルや脈拍、怪我の具合などを手際よく伝えると救急車は走り出す。
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