虹の竜と願いのリセラ 2
◇
こころを閉ざし、冬の森へと。
けれどもかれの虹色のからだは、あまりにもめだってしまいます。
にげてもにげてもおいかけてくる、欲望にくるった人間たち。
つかれはてたかれは自分のみをまもるために、いやなきもちを承知のうえで、あえて人間のすがたになって、人間たちにまぎれることを選びました。
最初、それは、とてもうまくいったように見えました。
かれは安心し、ほっと息をつきました。
しかし人間はきづきます。
うきよばなれしたかれの、人間らしからぬふんいきに。
そして人間のすがたになっても変わらぬ、虹色のひとみに。
「虹の、竜だぁっ! こんなところにいたぞっ!」
いやなきもちをおさえて変身したのにすぐに見つかってしまったかれ。
かれはにげます、必死でにげます。
かれはますます人間がきらいになりました。
そしてようやくたどり着いた、冬の森のちいさな家。
そこまでは人間はおってきませんでした。
つかれはてたかれは人間のすがたのまま、うちすてられたその空き家におちつくことにしました。
ひとのよりつかない家、冬の死の空気。
なにもかもが死に絶えたここだからこそ安心できるのだと、つかれはてたかれはそう思ったのです。
もうにどと、人間なんてしんじない。
人間はみにくい存在だ。
かれはそう、そこで長いことおもっていたのに――。
であって、しまったのです。
◇
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