涙がでませんでした

ふっとした時に

自分が泣けないことに気づく。

涙って自然に流れるはずのものなのに

一滴たりとも溢れない。



泣こうと思っても泣けなくて

焦りばかりが募っていく。



全米が涙したという話題の本を読んでも

泣けると映画を見ても

心が揺さぶられる音楽を聴いていても

涙が止まらないと言われる動画を見ても

私には何一つ響かない。


普通の人なら泣いているかもしれない。

本来なら号泣しているだろう。



けど、私は泣けなかった。



何も思わないわけではない。

自分が冷たい人だとも思っていない。

決して人の心がわからないわけでもない。



けど、私は泣けなかった。



.

.

.

.




そして、ある日、ワタシは泣いた。


暗い真夜中に、

机の電気スタンドの明かりを灯し、

ただじっとしていた。


ワタシはひとりぼっちだった。


朝も昼もたくさんの人に囲まれている中で

私はワタシを見失い、

夜になって

一人になると私はワタシと向き合った。



ワタシは泣いていた。

私はワタシが泣いているのを見ていた。

そして彼女は言った。

「私はワタシを必要としてくれない。

ワタシはいらない存在なんだ。」


ワタシは泣いていた。

私ができないことを彼女はやっていた。


涙が流れるのが自然であるように

泣くことが普通であるように

ワタシは泣いていた。



そして、気づけば、私は泣いていた。

「自分をごまかして笑うのが辛い。

自分を隠して生きるのが辛い。

私がワタシを必要とできないのが一番辛い。」



私は、泣いた。

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