第5話  これからも

彼女が旅立ってから、20年が経った。

僕は、彼女の月命日には、お墓参りをしている。


あの海での出来事の翌日、僕は彼女の・・

美代さんの自宅を訪問した。


温かく迎えてくれた。

そして、彼女には理沙という二つ下の妹がいる事を知った。

姉にそっくりだった・・・


そして・・・


「やあ、今月も来てくれたんだね、ありがとう」

「いや、いいよ。」

「理沙は元気?」

「元気だよ。お義姉さん」

「それは、よして・・・」

あの世へ行っても変わっていない。


「でも、どうして僕には、君の姿が見えたんだろうね」

「それはね、あの時の君が、私の死を認めたくなかったからだよ」

さすがだ・・・お見通しだ・・


「君の娘の、私の姪の美代子ちゃんは、もう中学生だっけ?」

「うん、元気だよ」

「私から取るなんて、芸がないね。それでよく、今の仕事につけたね」

「わるかったな。妻と相談して決めたんだ」

確かに芸はない。

でも、忘れないでいたかった


「父子の仲は、いいみたいだね」

「まあね」


「お父さん、お母さんがそろそろ行こうって・・・」

娘の声がする。


一緒に墓参りをしているが、僕の美代さんの話をする時間をくれる。

ありがたいことだ・・・


「また、来月も来てくれるんでしょ?」

「ああ」

「待ってるね。そこの頃には、また戻ってくるから」

「あの世での生活は、楽しい」

「うん」

即答した。


人の歩きには、それぞれのスピードの差が出る。

僕の場合は、とても遅く、普通の人が1分で行ける距離も、10分はかかる。


でも、それでもいい。


今、僕は商業誌で、漫画を描かせてもらっている。

僕には、ギャグは合わない。


美代さんとの思い出をつづっている。

なかなかの、評価は得ている。


これからは、わからんが・・・


「大丈夫だよ、私がついてるから」

「えっ」

「海人くん、がんばって」


美代さんの、励ましの声がした・・・

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幽霊 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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