第12話増加の原因

 

 キビタキはここ近年個体数の増加がみられるようです。主な原因として挙げられるのは「里山の放棄」なのだそうで、キビタキは昆虫食で茂みが大好きですから、全くの好都合なのでしょう。ですがそうなったところでは、逆に写真撮影は困難を極めます。写真を撮っていると、公園は適度に枝が払われ、整備されているということを改めて感じさせられます。一度山の林道で見かけたことはありますが、ファインダー付きのFZの力でも間に合いませんでした。また道から一歩奥に入ってしまったら、もう中ジャングル状態なので無理です。


 もしキビタキをご覧になりたいと思ったら、やはり公園が、バードウオッチヤーのいるところで一緒に待たせてもらってというのが最良だと思います。なわばりをパトロールするのは日課のようなので、じっと一所で待っていれば現れてはくれるようです。

「一回出たらニ十分は出てこない」という言葉も本当だとは思います。双眼鏡があればもっと楽しめますが、キビタキの動きは早いので技術が必要かもしれません。一方オオルリは案外じっとしていることも多く、この前撮った時は三分ほど一所にいました。

「三分? 」と思うかもしれませんがそんなものなのです。

しかし考えれば考えるほど、彼らの行動は理にかなっています。

三分いた場所は桜の木の上、まだそんなに葉もない所、つまり丸見えになるのです。自分のテリトリーの主張はしなければいけませんが、危険は回避したい、その結果の時間なのでしょう。その近くで数日前

「三十分オオルリがおったんやけど、腹ばっかり見えて」という他のバードウオッチヤーの嘆きも聞きました。そこは茂った高い木の中、外敵からは見え辛いのです。


 今はブログをあげている方がたくさんいらっしゃるので、住んでいる近くのものを見れば場所もわかるでしょう。しかし注意点を少し、私もこの年で主人から怒られるのです。


「あそこ! あそこいる! 」


「指を指すな! 小鳥が逃げる! 」


という具合です。彼らは長いものを嫌がるのです。鳥もちで昔は採られていた記憶なのかわからないのですが、その点は注意してください。


 バードウオッチヤーには「迷彩色の服」を着ている方も多いですが、私も主人も身に付けてはいません。これについてはいろんな意見がありますが「ド派手なもの」でなければ良いのではと思います。

ただその公園には公園のルールもあるかもしれませんので、それは

「郷に入っては郷に従え」で守ってくださるようお願いいたします。

もちろんバードウオッチヤーは管理者ではありませんが、願いは一つ

「ずっとここにいてほしい、来年も来てほしい」なのです。極端な行動に出れば嫌がって、最悪その地を去ってしまうかもしれません。この点だけはご注意ください。


キビタキとオオルリのオスは人生のうちに「自分の目で見る」ことをお勧めします。そのために時間と労力を割いても後悔しない鳥です。でも上手くいかなかったらごめんなさい、その時は周りの方から写真を見せていただくと良いかと思います。きっと自慢の数枚を見せていただけるのではないでしょうか。


ですが今から子育てが始まって、ひな鳥が出てきます。彼らはまだ色も十分でなく、オスかメスかも分かり辛いです。


「あれひな鳥! 珍しい! 」


バードウオッチヤーは歓喜しているでしょうが、これはレア種のようなものと考えてください。完全な美しい色になるまで数年かかり、その間日本への渡りを経験して一人前の色なってから交尾するともいわれています。

あの美しさは「生き抜いた証」でもあるのです。

最近の研究によれば

「メスは鳴き声でなく美しさでオスを選んでいる」という結果がでたそうです。それが本当にそうであるとは断言はできませんが、きれいな個体が命を繋いでいったから今の美しさがある、というのには頷けます。


 美しい鳥が増えてくれるのはうれしい事です。ではこの次はその反対の鳥のことをお話ししましょう。私が大好きな、夏の到来を高らかに告げる鳥です。

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