第174話:終わりの話
奇龍目線___
蒼桜先輩は集中治療室でさっき目を覚ましたと聞いた。もう大丈夫だ、安心していいそうだ。姉ちゃんと凛音は相部屋で入院している。凛音も3年生に比べたら小さい怪我を沢山していたのもあり少し入院することになったらしい。雨梨は入院続行で俺だけ寮に帰るのもなんだか嫌で、馬の世話して最低限の食事と男性陣の着替えを持って来る生活をしている。
あの後俺は軽く処置をされて、疲労感から廊下のソファーで寝落ちした。昼ごとに目を覚ますと桐谷先生がいた。
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「先生…?」
「大丈夫か。痛いところとかないか?」
「大丈夫です…。あの、俺安曇君の制服…。」
「いいんだよ。本当に生きてて良かった。他の4人の事は聞いたよ。よく6人で頑張った。」
「俺は怪我も軽くてそんな褒められることじゃ…。」
「これほどの規模で一般人の保護も含めての戦闘だと全滅も大いに有り得た。でも全員生存した。それは凄いことだぞ。今は疲れているだろうしゆっくりおやすみ。」
頭を撫でられると瞼が重くなっていく。ああ役に立てたんだ。俺狂わずちゃんとここにいたんだ。生きてるんだ。
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「奇龍くん。」
「桐谷先生。」
「蒼桜君が目を覚ましたらしいね。良かった…。奇龍くんはちゃんと休めてるか?」
目の下の隈をなぞられる。あの時は死んだように寝たがその後はなんだか寝れたり寝れなかったりを繰り返している。
「あ、桐谷先生。」
「雨梨君も大丈夫か?」
「傷はもう縫ってあるので…。」
「そうか。二人とも無理はしないようにな。」
「桐谷先生は毎日見舞いに来て下さるけど、中等部はいいのですか…?」
「持ち回りで生存した生徒の様子を見ているんだ。君たちは良く頑張ったから全員が復活するまで毎日会いに来るぞ。」
頭を撫でられる。急に眠気が襲ってきてあくびが出た。
「奇龍、僕のベッドに寝なよ。」
「いやいや、大丈夫。」
「僕寝すぎて寝れないし、たまには外の空気吸ったり歩かないと体力落ちるから…。」
「分かった。ベッド借りるな。先生じゃあ寝てきます。」
「ゆっくりやすめよ。」
返事も適当にベッドに潜り込む。雨梨の匂いに安心して意識はすぐ飛んだ。
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