第158話:僕を見て

雨梨目線____


 羅希先輩は僕達に悩んだ顔を見せないように振舞っている。


「2人とも怪我はどう?」


「俺はもう大丈夫。」青白い顔をしながら蒼桜先輩は笑っていた。


「痛々しいわね。雨梨は?」


「僕も大丈夫です。」


「こんな形だけど休みになって良かったわね。」


 僕達は前線から今は退いている。一つは羅希先輩と凛音しか戦えないため。一つは命令違反の謹慎だ。


「奇龍はどうしてる?」


「さあ。」


「さあって…。」


 蒼桜先輩が困るのも当然だ。奇龍にはあの後会っていない。


「奇龍は今休学中よ。寮にもいないし、親は居場所を知っているけど、実家にも居ないから私にもさっぱり。」


 私も何度も連絡はしたけど、返信は未だ来ていない。


「奇龍先輩…。」


「凛音大丈夫よ。あの子は今まで傷つき続けてきてるから、今回もきっと大丈夫よ。」


「僕は…奇龍は自分を責めていないか心配です…。」


 右手首を見つめた。右手首はリハビリをすれば元のように機械をいじれるようになるらしい。


「そうね…。」


「奇龍とは連絡着いてないんだよね?」


「うん。会いたくないでしょ。けー君の事も含めていろいろあったし。」


 外は厚い雲で覆われている。奇龍、君の隣には僕がいるのに、なんで僕が見えないの?

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